「ZFテクノロジー・ディ」でのもう一つのワールドプレミアは、大型の「ZFイノベーション(革新)トラック」。
このトラクター(=トレーラーヘッド)も、乗用車ですでに採用されているカメラやミリ波レーダーなどのセンサー類とZFの「ProAI」により、自動運転と電気駆動を可能にしています。
普段、私たちが運転する乗用車とはサイズや見た目がかなり違いますが、大型商用車も安全と環境性能が着々と進化しています。
物流会社のデポ(積み下ろし基地)や工場など、企業の敷地内における自律走行が可能な「イノベーション・トラック」は、6輪の大型トレーラーヘッドをベースに製作されたプロトタイプです。
ドライバーは納入場所に到着すると、トラックから降りて自動運転モードに切り替え休憩をとる事ができます。その間、無人となった「イノベーション・トラック」は、ZFの車載コンピュータ「ProAI」で、GPSと車載センサーから得られたデータを分析。同時にLTEもしくは敷地内のワイヤレスLANを通してZFのテレマティックスシステム「OPENMATICS」にアクセスし、現在地、目的地と他の配送車両の位置などから最適な走行ルートをリアルタイムで計算します。
その後は電動油圧パワーステアリングと電動モジュールが組み込まれたトランスミッションで構内の荷下ろし場所まで自律走行し、コンテナの切り離しから新しいコンテナの連結まで一連の作業を自ら行います。
現在、コンテナを持ち上げ、移動させ、再び連結させるといった切り替え操作はドライバーが行っており、時間やコストを要するだけでなく、事故による作業員の怪我や積み荷および設備のダメージにもつながる場合があるそうです。「イノベーション・トラック」は、これらの作業を迅速、正確そして安全にドライバーの負担なく行います。作業の効率化によって、物流業界全体のコストと環境負荷低減にも貢献できそうです。
インターネット通販の普及に伴い、日本を含め世界的にトラック輸送が増えている昨今。交通量の増加によって渋滞が増え、ドライバーの過労や事故の増加、ドライバーの不足といった課題が深刻なものになっています。
全日本トラック協会の発表では、日本国内の貨物総輸送量を重量で集計すると、トラックによる輸送分担率は9割に達するそうです。そのような状況下、運転と操作機能の一部自動化は、物流業界に大きなメリットをもたらすだけでなく、現代の社会にも必要とされているのではないかと感じました。
(Toru ISHIKAWA)
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Source: clicccar.comクリッカー