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この時代のOPTには清水和夫さんも登場していた! 大自然の中を走るロングツーリングの醍醐味とは?【OPTION 1985年10月号より】

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清水和夫さん、皆様はもうご存知ですよね。ラリーやレースでも大活躍。OPT姉妹誌の「GENROQ」誌にも執筆いただいている国際自動車評論家です。自動運転の分野でも第一人者であり、海外で行われる国際試乗会をはじめ、TV、ラジオ、講演会など日々、世界中を飛び回っていらっしゃいます。

そんな清水さんですが、80年代初~中期くらいのOPTには、タイヤのテストレポートなどを寄稿いただいていたんです。ちょっと意外でしょ? 今回のプレイバックでは、清水さんが体験したアラスカ大陸ツーリングのレポートをプレイバックしましょう。

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目次

清水和夫の突っ走り報告
モータリングアクロスINアラスカ

アラスカの感動的大自然は、ボクにヒッチャキ全開願望は文明病なのだと教えてくれた。 なんちゃって!

果てしなく続くストレート、そして氷河を横切る極上のワインディングロード・・・・・渋滞だらけ、信号だらけの日本では考えられないような夢のツーリングの中で、ドライビングレッスンを受けられるというツアーが開かれた。幸運にもボクも同行できたので、その感動をキミにお伝えしよう。

10名の参加者とインストラクター、そしてボクらジャーナリストで構成されたモータリングアクロスの一行は、アンカレッジを目指し成田を出発した。参加者の中には、今からアラスカのワインディングロードを走っている気分の人もいれば、ドライビングレッスンよりも、釣りやバーベキューを楽しみにしている人もいる。

レッスンといっても、かたい話は抜きにして、アラスカ大陸を心ゆくまでドライブしよう、というのが企画の主旨。選ばれたコースは、アメリカの最西端の街・ホーマーから、マッキンレー山の麓を通り、フェアバンクスを経由してアンカレッジまで、およそ2000kmに及ぶルートである。果てしなく直線が続くところあれば、氷河の中を走るワインディングまであるという話。飛行機の中でももう右足に力が入ってしまう。

用意されたクルマも感激モノ! ポルシェ944、ポンティアックフィエロ、アウディ80クアトロといったスポーティカーがズラリ。プレリュードやスタリオンターボなど、日本車も仲間入りしている。

さっそく乗り込み、フルスロットル!といきたいところだが、フリーウェイを含め、アメリカはどこも55マイル(88km/h)規制があり、スピードチェックも厳しい。まずアメリカ最西端の街、ホーマーに着くまでは慣熟走行といったところだ。

緯度の高いアラスカの夏は短く、日が長い。夜中の12時頃にならないと暗くならないのである。だから、常に時間を意識していないと、寝る時間を逸してしまう。ボクらにしても、初めの2~3日は寝るタイミングをつかみ損ねることがあった。

ボクらの滞在したアンカレッジのホテルから、クルマで15分も走ると紅鮭が河を遡っているシーンが見られる。途中、岩に打たれ、体中傷だらけである。途中で息絶えるものもいれば、熊に食べられてしまうものもいる。彼らに引き返す選択は与えられない。ひたすら産卵場所を目指すのである。本能とはいえ、なんとも哀れな宿命に胸を打たれる。

ホーマーを目指すまで氷河見物やバーベキューを楽しんだ。景色は雄大であるが、ドライブそのものは単調。短い夏の太陽を求め、この季節はキャンパーが多い。乗用車よりも、大型のキャンピングカーが目立つ。アラスカでは、高性能スポーツカーより、フルレンジのキャンピングカーが欲しくなった。

とにかく健康的なところであり、下心多きスケベ野郎とは無縁の地である。ホーマーの街には、たったひとりだけコールガールがいるが、いまだに処女だから気を付けろ!と、誰かが言っていたのを思い出した。実際、そんなジョークが似合うほど、アラスカは健康的なのだ。

観光や買い物で時間が経つのも忘れているうちに、いよいよ、ホーマー→フェアバンクス→アンカレッジというロングドライブの日が近づいてきた。

ところが、綿密に立てられたプランも、ツアー第1回でもあり、アラスカというあまりに広大な土地の中で距離感が甘かったようだ。残された時間と今までのペースを考えると、フェアバンクスまであまりにも遠すぎたのである。不可能なプランではないが、わずかなリスクを感じたときは、撤退することが正しい。

主催者には、全員を無事にゴールさせるという重大な責任がある以上、この判断は正当なものである。実際、断念に至るにはかなり勇気も必要である。

結局、フェアバンクスのおよそ300km手前、マッキンレーの麓で、ボクらは引き返すこととなった。未練を感じた人もいたはずだが、またチャレンジすることだってできる。

とりあえず、あの植村直己さんが眠るマッキンレーを目の前にしたボクらは、ある満足感を覚えた。大自然に感動したからなのか、あるいは長いツーリングに疲れたからなのか分からない。

それにしても、果てしなく続くストレートは、かえってヒッチャキに全開にする気など失わせてしまうようだ。地球の頂点に最も近いところで、クルマと自然に触れた喜びであったのか。言葉では語れない満足感に浸りつつ、アンカレッジを後にしたのだった。

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当時、TOYOタイヤのバックアップで富士、筑波を中心にドライビングレッスンを行っていた「モータリングアクロス」が初めて企画した海外レッスン編が、このアラスカツアーでした。

広大な自然の中、ニヤニヤしながらポルシェのステアリングを握っている清水和夫さんの姿が目に浮かびます! 紅鮭は引き返せない運命だけど、ツアー一行は引き返すことを決断。賢明です。このツーリング報告は、最高速ンkm/hとか、区間タイム何秒とか、そんな暴走チック?じゃないのも、OPTとしては珍しい!?ページでした。

[OPTION 1985年10月号より]

(Play Back The OPTION by 永光やすの)







Source: clicccar.comクリッカー

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