いよいよ街中と首都高に続き、ホンダビートで山坂道に向かいます。ビートは旧規格の軽自動車でサイズが小さいので、青梅から奥多摩湖を経由して、山梨県に抜けるタイトなコースを選びました。当日の早朝は肌寒いくらいでしたが、オープンにして出発。
普通に走っても野太いエグノーストノートが早朝の街に響き渡りますネ。国道を走って待望の山坂道が見えてきました。
上りに入り、2速にシフトダウンしてフルスロットルで踏み込むと、「クオォォーン」と良い音を響かせながらエンジン回転が急上昇。手首で決まるシフトが、心地良いですね。ただ上りでは、4速まで入れると加速しなくなっちゃう…。しかし、上りではリアに荷重がかかり、後ろから押し出されるミッドシップの挙動が顕著に現れ、軽快でクイックなハンドリングを楽しむことができます。
下りタイトコーナーでのブレーキ時には、4輪に荷重がかかり車体全体が沈み込むように減速するため安定感抜群。前後重量配分が優れている証でしょう。またコーナーでは、クルマがドライバーを中心に旋回するハンドリングを堪能できます。これはクルマの重心がドライバーの腰の位置にあるためで、ビートのパッケージングがもたらす走りの一体感は本当に素晴らしい!
なにより5月上旬の新緑の山坂道の中をオープンにして、アクセルもブレーキも思い切り踏み込んでドライブするのは、本当に爽快で気持ち良かった! 加速の違うバイクやスポーツカーに何度も道を譲りましたが、ビートは走りの楽しさは、速さとは別のところにあることをあらためて実感した次第です。
今回の試乗では2日間で約400km走行して、ハイオク指定の燃費は20km/lでした。なにしろ速度に関わらず全域でアクセルを吹かしていましたから、燃費が20の大台に乗るとは思っておらず、ビックリしましたヨ!
最新のS660が搭載する直噴ターボは、低中回転域のトルクで力強く押し出す走りが特徴。一方ビートは、エンジンを高回転まで引っ張ってパワーを引き出して走るタイプなので、まさに真逆の性格でした。更にS660はターボトルクの恩恵で、シフトをサボるズボラ運転も許容してくれますが、ビートでは、常に回転を維持してシフトを継いでいかないと走ってくれません。
そのため、いつでもどこでもドライバーが両手両足を駆使して運転するので「クルマに乗せられている感覚」は皆無! クルマの全てを操るビートのドライビングが、非常に新鮮ですし、ビートからも「いつだって俺は全力さ!」と語りかけられるようでしたヨ。
ただビートは、乗り手によって印象が異なるクルマだと思います。S660の走行性能を基準にしたら、超ネガティブな評価を食らうかもしれません。でもそれはある意味正しいし、それはそれで良いのだと思います。
筆者がビートを走らせて感じたのは、街中では「公道のゴーカート」であり、ボンネットをガバッとあげた姿はまぎれもなく「スーパーカー」てあること。そして山坂道では「オープンカー」として風を切り、ミッドシップの運動性能を発揮しながら、ヒトもクルマも全力でドライブする「スポーツカー」であるということでした。まさしくビートならではの個性なのだと、実感した次第です。
今回ビートをシェアしてくださったオーナーさん、ありがとうございました。是非是非、ビートを大事にしてください。そしてまたいつの日か、シェアさせてくださいネ。
(星崎俊浩)
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Source: clicccar.comクリッカー