「これは欲しい」── 話題の「ウルス」の日本お披露目会場で、見た瞬間にそう思いました。同時に「これは売れるな」ともね。
だってメーカーのランボルギーニ曰く「世界初のスーパーSUV」ですよ。
ランボルギーニ初のターボ付きとなるV8 4.0Lエンジンは650Hpで最大トルクは850Nm。そして0-100km/h加速はわずか3.6秒、0-200km/h加速は12.8秒、最高速度305km/h(ずいぶん細かく刻んだなあ)という速さ。さすがスーパーSUV。
なにより魅力的だなと思うのはスタイルでしょう。ポルシェ・カイエンやBMW X5の登場以来〝速いSUV〟はそれなりに数が揃ったし、ベントレー・ベンティガのように〝凄いSUV〟だって生まれているけれど、こんな尖ったSUVは見たことがない。
まるでステルス戦闘機(最近のはもっと滑らかだけど)みたいな直線だらけのシャープなデザインは、いかにも今どきのランボルギーニ。そんな他のSUVとは違うオーラこそがウルスの真骨頂だと思っています。
全長は5112mm、全幅は2015mm(欧州仕様スペック)。そしてホイールベースは3003mmとまさかの3m超え! なんという巨体! そしてなんという存在感! まるで地上に降り立ったUFOみたい…というのは、ちょっと言いすぎ? でも街で見かけたらそのくらい目立つに違いない。
もうひとつウルスで注目すべき大きなポイントは、初の「日常で使えるランボルギーニ」だってことでしょう。
……と書くと「ウラカンだって使えるじゃないか? アヴェンタドールだって」と反論されそうなので言い訳しておくと、それらはムカシのスーパーカーと違って運転操作自体は簡単だけど、街乗りで使うには本当に気を遣う。
いちばん気を遣うのはちょっとした段差でも車体下部を擦りそうなことで、なかでもフロントバンパーの下についている空気の流れを整えるためのゴムが気を抜くと緩やかなスロープでも簡単に路面と接触。「ズズズッ」と音を立てるからそのたびにバンパーを擦ったのかと思って心臓が締め付けられそうになって、普通のクルマと同じように運転するとドライブで何度も生きた心地がしなくなるわけです。
でも、最低地上高もアプローチアングルもしっかり確保しているウルスならそんな心配は無縁。冗談抜きに寿命を縮めなくて済む。これは素晴らしい。
あと、運転でいえば斜め後方視界もウルスはウラカンやアヴェンタドールよりずっといいから、高速道路の合流なんかも神経使ったり、アクセルを踏み込んで走行車線を走っている前のクルマの前に出て本線に合流するようなこともしなくて済むしね。
そして「日常に使える」性能で大事なのはウルスは荷物が〝普通に〟積めること。大人2日のお泊りドライブ程度が精一杯のウラカンやアヴェンタドールと違って、狭くはないラゲッジスペースがあるし、何なら後席にだって荷物を置けるしね。今までのランボルギーニのスーパーカーとは大違いなわけですよ。
後席といえば、もちろん座って確かめてみましたよ。あの見た目からしたら意外や意外、普通に座れちゃいます。ヘッドクリアランスが足りないかなと想像していたら、身長167cmで足短めのボクが座っても全く問題ない。サイドウインドウが小さいので閉塞感はあるけれど、スペースとしてはまったく問題なし。これは実用的です。
「実用的といえば昔はランボルギーニにも後席付きがあったじゃん、エスパーダとか」という意見もあるかもしれないけど、それらはリヤドアがなかったからあくまでクーペだし、LM002はキャビンは広いけど、どう考えたって乗り心地が悪くて快適じゃないでしょ。「日常的に使える」というのはちょっと違う。
そんなわけで、ランボルギーニの新しい道を切り開く意欲作のウルス。
もしも、他にクルマが飽きるほどあって新たに追加したいとか、駐車場が2台分用意できないから1台ですべてをこなすオールマイティなスーパーカーが欲しいなんて言う人には超オススメです。
僕は……さらなる高性能仕様の登場まで待とうと思います。
理由ですか? だって最高出力がJEEPグランドチェロキーの最強仕様「トラックホーク」の707psに負けているのが癪に障るんだもん。スーパーカーはこういうスペック勝負が重要だもんね。
(工藤貴宏)
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Source: clicccar.comクリッカー