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歴代初の「軽量コンパクト化」を遂行

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‘75年に登場した初代GL1000以来、累計で79万5000台が販売されたホンダの最上級モデル・ゴールドウイング。40年以上変わらぬそのコンセプトは「バイクの王様」という、非常にシンプルでわかりやすいものだった。しかし、先の東京モーターショーで発表された6代目はそのコンセプトを大幅に見直している。新型ゴールドウイングはいかなる変化を遂げたのか、開発者の声を基に、注目点を3回に分けてお伝えしよう。

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さらなる“重厚長大化”の否定

従来までのゴールドウイングは、初代から先代となる5代目まで、モデルチェンジのたびに排気量を上げ装備を充実させる、「より大きく豪華に」という進化を辿ってきた。6代目となる新型はこの路線と決別し“軽量コンパクト化”という、歴代ゴールドウイングでも初となるテーマを掲げていることが特徴だ。豪華さや巨体が生む立派さが「扱いにくさ」や「退屈さ」につながっていないか……という自問の末、走りの質感は保ちつつも、よりスポーティな走行性能やイージーな取り回し性を追求すべきと方向性を定め、それらを獲得するための手段として、車体の小型軽量化を追求しているのだ。

水平対向4気筒を積む初代ゴールドウイングは‘75年に登場。‘72年に登場したカワサキZ1の対抗馬とされることが多いが、開発責任者の野末壽保(ひさほ)氏によれば「目指したものは全バイクの頂点に立つ“王様”」。このコンセプトが歴代に渡って踏襲されていく。

排気量を999cc→1085ccへと拡大した2代目1100からはカウリングやケース類を装備した上級仕様「インターステート(写真)」が登場(ネイキッド版も存続)。ホイールベースも延長されるなど、ツアラー方向へと舵を切ったモデルで、’82年にはステレオや液晶メーターを装備した最上級版・アスペンケードも登場する。

排気量は1182ccまで拡大され、全グレードに前後連動ブレーキを投入。ヘッドライトは1100の丸目から角目へと変更。グレードはSTD/インターステート/アスペンケードの3種で、ネイキッド版が存在した最後のゴールドウイングでもある(‘84年限りで消滅)。‘85年にはFI採用のリミテッドエディションも追加された。

完全新設計の水平対向6気筒を搭載。高級感あふれるデザインや1000時代から熟成を重ねた完成度で、ヤマハ・ベンチャーやスズキ・カバルケード、カワサキ・ボエジャーなどのライバルを圧倒、王者の座を決定付けた名機だ。バックギヤの初搭載や米オハイオ工場での生産、日本国内初のオーバー750cc車となったことなどもトピック。

排気量を1520→1832ccへと拡大しFIを採用、アルミフレームやプロアームの採用など、ラグジュアリーなゴールドウイングにスポーティさも盛り込んだのが‘01年に登場した1800。サイドラジエターや2輪初のエアバッグ(’07モデルから)やナビ(‘08モデル)など、新機軸も多数投入されている。

来春の国内発売が予想される6代目ゴールドウイング。スタイリングは若々しいものとなり、車体のコンパクト化もあってスポーティさが強調されたものとなっている。

とはいえ、そもそも歴代ゴールドウイングは豪華さや快適さを求めて進化してきただけに、6代目の方向性には当初迷いもあったという。しかし、メイン市場のアメリカでユーザー調査を行うと、5代目(‘01年発売) 開発当時に感じていた「デカくて豪華」を美徳とする彼らの価値観が変化し、取り回しの厳しさや重量の重さに不満があることもわかってきた。開発責任者の中西豊さんは「私たちがイメージしていた『大きくて豪華がいい!』というゴールドウイング像が、ちょっと違うんだな……と感じるようになった」と語る。現ユーザーの年齢層が上昇し、若いユーザーを取り込んでいくためにも、より純粋なバイクの魅力、スポーティさ強調する必要性もあったという。

■ゴールドウイング

■ゴールドウイング・ツアー                             新ゴールドウイングでは、トップケースを装備し、DCT仕様を選べる上級仕様を「ゴールドウイング・ツアー」とし、トップケースレスの、従来型で言えばF6Bに相当するモデルをSTDな「ゴールドウイング」とする。

その一例がウインドプロテクションだ。従来路線なら完璧な防風性能を追求しただろうが、「それならクルマに乗ればいい。バイクなのだから、気持ちいい風の当て方があるはずだ」と考え方を変えた。小さく軽くといっても剥ぎ取ってチープにするのではない。快適さや上質さはキープしつつ、クルマの領域に差し掛かっていた?快適さを、バイクの魅力側に引き戻したと言えばいいだろうか。重量も従来モデル比で41kg(新型エアバッグDCT車と従来型エアバッグ車の比較)も削減されている。

しかしゴールドウイング唯一無二の特徴・水平対向6気筒というエンジンレイアウトは踏襲されている。これも4気筒化など、小型軽量化を目的に様々な案が検討されたというが、フラット6の上質極まる回転感は他に代えがたい魅力だという判断だ。また、軽量化が最重要項目なのだから、車体や駆動系により高い強度(=重量)が必要な大排気量化はありえない。2→4バルブとし、ユニカムの採用などエンジンを完全新設計しながら排気量とエンジンレイアウトを引き継いだのは、このような考え方によるものだ。

新型ゴールドウイングの開発責任者を務めた、本田技術研究所の中西豊さん。5代目のマイナーチェンジモデル(‘11年)も担当している。

Source: WEBヤングマシン

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