東京オートサロン2018の大物ゲスト、TOYO Tiresが招いたケン・ブロックさんの隣に乗ることができました! もちろん、ドリフト走行の助手席です。
ケンさんは、言うまでもなく、針の穴を通すほどのコントロールでクルマを自由自在に操るドライバー。
YouTubeを中心に公開されるその映像は毎回話題となり、もっとも多く視聴されたサンフランシスコを舞台にしたバージョンは9600万回の再生回数となっています(2018年1月14日現在)。
そんなケンさんの走りの助手席に乗れるなんて、滅多にできることじゃありません。というか、一生チャンスに恵まれないのが普通でしょう。
実は私は、いろんな人のドリフトの助手席に乗った経験があるんです。ドリキンこと土屋圭市さん、レーシングドライバーで初代D1チャンピオンの谷口信輝さん、いまD1でもっとも強いと思われる川畑真人さん、もうひとりのドリフト会のケンさんであるのむけんこと野村謙さんなどなど。
ひとくくりにドリフト走行と言っても、人によっていろんなスタイルがありますが、ドライバーによってその個性はそれぞれなのもよくわかります。
ドリキンさんはガッツリ突っ込んむ男らしい走りだったり、谷口さんは女性を扱うように優しくスムーズに切り返して横Gをほとんど感じさせない、のむけんさんはコミカルな動き同様にクルマもポップに楽しげに向きを変える、といった具合です。
さて、アメリカのケンさんはどんな走りなんでしょう。
ヘルメットを被り、バケットシートに収まり、フルハーネスのシートベルトでクルマと一体になります。すでにエンジンはかかっていて、ケンさんはオンボードコンピュータのスイッチを操作してから親指を立てながら「are you OK?」と聞いてきますので、こちらも親指を立てて返します。
シーケンシャルのギヤをガチャンと1速に入れ、フォードフォーカスはゆっくりとスタート地点に向かいます。
幕張メッセのデモラン会場のオフィシャルがスタートの合図をしてクルマは突如動きました。
デモラン会場の裏から表のステージに出るにはほぼ直角に曲がらなければなりません。D1マシンなどはここで直前に90度右に向きを変えるんですが、ケンさんのクルマは120度くらい右斜め手前に向きを変えて突っ込んでいく感じです。そこから大きく場内をあらぬ方向を向きながらコンクリートバリケードの壁に向かっていきます。
一瞬のことですが、自分にはゆっくりのように感じながら、角度を変えるごとにみるみる壁が助手席に迫ってきます。
「おおおー、どこまで壁に近付けるんだ?」と心の中で思ったかもしかしたら声に出してたかもしれませんが、爆音の車内ではまったく自分の声すら聞こえません。
「窓から手を出せばもう少しで壁に手が届くかな」くらいからさらにクルマは向きを変えていきます。おそらく助手席側の右後ろのテールが壁ギリギリを通過したんでしょう。
その後はキュインキュイン向きと角度を変えたり、その場で回ったり、タイヤは前向きに転がってるのに後ろに進んだりしているうちに、車内も車外もタイヤの煙で真っ白になっていきます。ホントにむせるほどです。夜のヒットスタジオなんてもんじゃないです。
すでにクルマがどっちを向いてどこへ向かっているのかなんかわかりません。「ケンさんはこれ、わかって運転してるのかな? 少なくとも視界はほとんどないよ。もしかしてテキトー?」などと頭の中を巡り始めたら走行終了です。
ゲホゲホ咳き込みながら「サンキューベリーマッチ」といって握手をし、クルマを降りました。
いろんな人の助手席に乗った私でも、「こんなの初めて!」というのが感想です。思った以上にGを感じなかったのは、やはり運転自体はスムーズなんですね。ステアリング、シフト、サイドブレーキの操作も、動きはもちろん速いんですが、唐突な操作ではなく、あくまでもジェントルに、流れるような動きなのです。
それと、FRの場合、どうしてもドリフト維持していくのに前に進まなければならないのが4WDの場合そうでもなく、ほとんどその場でもドリフトできるのが違ってるようです。「できる」って言っても「誰でも」じゃないですからね。真似しないでくださいね。
なので、止まることなく車庫入れのようにクルマを駐車スペースにお尻から入れてそのまま前に出て行くこともできるのでしょう。「できる」と言っても……以下同。
いやしかし、ホントにいい経験させていただきました。いい冥土の土産ができたって感じがしました。でも、あの煙の中にはそんなに長くはいたくないですね。だいぶ体に悪いんじゃないかと感じます。なんたって新品のTOYO RROXES R888Rが2回の走行で交換となってしまうんですから。
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Source: clicccar.comクリッカー