80〜90年代の日本車からグッドデザインを振り返るシリーズ。第25回は、カジュアルな質感と明るさをミックスした、ファッショナブル・コンパクトに太鼓判です。
「アーバン感覚で若々しいスタイル」をテーマに、小さなクルマだからこその独自の高品質感やファッション感覚を取り入れ、1990年に登場したのが4代目のターセル・コルサ・カローラⅡです。
80年代まで明確に分けていたロワーボディとキャビンを一体的につなげる新たな手段として、フォルムをひとつの丸みと想定。その結果、シンプルでクリーンな面が、ボディ全体の大きな単位で構成されました。
コーナーが絞られ、より丸さが強調される3ドアは、張りのあるリアハッチパネルに、3次曲面の大きなリアガラスがぴったり収って高い質感を構築。さらに、円弧を描く専用スポイラーは一体感が魅力です。
丸みを若干抑えた4ドアは、ボンネットに凸面を加えることで独自のボリューム感を確保。大きなキャビンとリアハイデッキのつながりもスムーズで、一体表現のリアランプとガーニッシュが後ろ姿を引き締めます。
また3ドアは、ショルダーにおかれたグレーの幅広モールが軽快感を生み、一方の4ドアは、前後バンパーをつなぐ黒のモールが長さを表現するとともに、セダンらしい落ち着きも与えます。
エクステリアに準じ、一体成形の広い面で構成されたインテリアは、カジュアルな高品質感。また、イエローやグリーン、パープルなど彩度の高いパステル調のカラーは、面質の高いボディにマッチします。
デザインチームは、若手を中心に自分たちが納得できるコンパクトを標榜。たとえば、女性を意識しながらも従来の表面的な手段に陥らず、視界の確保などより本質的なアプローチを試みました。
同時期の初代セルシオを筆頭に、新しい表現でありながら、しっかりしたモノ作りをするという機運が、当時のトヨタには浸透していたのかもしれません。
●主要諸元 トヨタ カローラⅡ 3ドア ZS(5MT)
形式 E-EL43
全長3930mm×全幅1645mm×全高1365mm
車両重量 880kg
ホイールベース 2380mm
エンジン 1496cc 直列4気筒DOHC16バルブ
出力 115ps/6600rpm 13.8kg-m/4000rpm
(すぎもと たかよし)
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Source: clicccar.comクリッカー