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決して真似をしてはいけないキャノンボール!? 後編【OPTION 1982年8月号より】

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そうだ、キャノンボールをしよう!前編に続き、後編ではいよいよゴールへ向けひた走るマシンたちの雄姿をお届けいたします。誰が、どのマシンがトップでチェッカーフラッグを受けたのか? 早速ドーゾ!

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クライマックス激走企画 CANNONBALL
湘南・江の島海岸→日本海、オレたちは走り続けるゾ!

【RX-7ミスコース。2輪、そしてOPT・Zもエンジン不調!? 】

スタート後2時間、中央道ルートのRX-7は、すでに勝沼ICを降り甲府バイパスをひた走る。中央高速へは平塚、厚木から津久井を経て、相模湖ICから乗り入れた。が、市街地で先行したGSX刀を捕らえるべく、追い上げたのはいいが、厚木付近でミスコース。10分のロスを背負う。

GSX刀は予期せぬクラッチの不調に襲われていた。クラッチストロークが徐々に小さくなり、ほとんど切れなくなっていたのだ。「原因は…? ともあれ、チェックは高速を走りきってからだ」。が、エンジンの調子もおかしい。メタルがイカレ気味なのか、全開にすると2ストロークのような白煙を吐きながら加速するのだ。巡航速度を100km/hほどに落とす。

東名を行くシャンテとZは…? さすがに深夜の東名は大型トラックであふれ、気分よく全開とはいえない。シャンテならばトラックの間をすり抜けたり、路肩から一瞬のうちに抜き去り、ハイピッチで先行することも不可能ではない。が、そこまでマナー無視でカミカゼをやるわけにはいかない。たとえOPTステッカーを貼っていなくとも、だ。

シャンテは基本的に、路面さえ良ければ走り味に文句ない。4本のピレリP7がピタッと路面に吸い付く。が、ひとたび荒れた路面では、マシンは跳ね飛びながら疾駆する。軽くリヤが飛び上がるごとに、タコメーターの指針も数100rpm跳ね上がるのだ。バックミラーは激しい振動で用をなさない。遮音に対する配慮が皆無の車内は、エンジン、ギヤノイズが充満し、ヒューンヒューンと、独特のCDIの悲鳴が耳を突く。

常人ならばその音に圧倒され、「今にも壊れるんじゃないか?」との不安から、とてもアクセルを踏みっぱなしには出来ないだろう。だが、気を決して踏めば、速い! 特に、100km/h→200km/hまでの加速は、ノーマルカーの1速全開の加速以上なのだ!

が、東名上でシャンテは、その致命的な弱点を露呈させはじめた。航続距離が短いのだ。燃料タンクはわずかに28Lしかない。5km/Lとして、満タンで走れる距離はわずかに140km。1時間も走らずして、ガス補給を要求されるのだ。

午前2時、シャンテは2度めのガス補給で牧之原SAに滑り込んだ。走行距離208km。同時刻、OPT・Zは、これもエンジン不調ながらシャンテより30kmあまり先行し、150km/hで走行していた。また、16号線から関越を目指したコロナは、その頃ようやく川越ICに辿り着いていた。走行距離90km。

午前4時、OPT・Zは淡々と走る。エンジンは時折、気まぐれに吹くが、4500rpmから上がバラつくのだ。原因は燃料増量システムか? しかし、どうしようもない。ブーストは0.4kg/cm2! これでは、ノーマルターボ以下だ。こうもエンジンが不調だと、心なしかデフやミッションまでが心配になってくる。

「デフのノイズが大きいようだけど、オイルが抜けていないだろーなぁ」。ともあれ、マシンをいたわり、ハーフアクセルで150km/hをキープする。ハンパなポジションだけに、足首が痛みを訴えだしている。

隣でナビを兼ねるカメラマンがつぶやく。「ターボの効かないターボ車ほどミジメなものはない。ターボの重さが残るのみ」。ただ、抜かれたクルマは1台もいない! 北陸道との分岐点、富山まであと233km!

【各車それぞれのペースで疾走、果たしてリーディングランナーは!? 】

一方、信号がうるさい16号線を走りきった後、関越を前橋ICまでメーターを振り切って飛ばしたコロナは、4時には長野の手前にさしかかっていた。18号はトラックが多い。流れは約80km/h。みんなけっこうなペースで流している。片側1車線だから、見通しの効くところではずっと右側通行だ。120km/hオーバーでブッ飛ばすのだから、高速道路とさして変わらない。スピードを出さないとかえって眠気が襲ってくる。

RX-7は快調に飛ばす。走行ノイズが小さいというのもいい。寝静まった街中でも心置きなくアクセルが踏める。たとえ、200km/hオーバーの最高速を誇るシャンテであっても、大町の市街を150km/hで走ることはできないだろう。その排気音からして・・・。

北アルプスの内懐を縫うこのルートは、さすがに深夜ともなれば冷え込みがキツイ。その寒気がモト・ライダーの身体に突き刺さる。また、刀のライディングポジションは決して楽ではないのだ。クラッチは応急修理したものの、エンジンは依然不調。が、いずれにしてもこの手の道を夜間、4輪ペースで走ることはキツイ、というより無謀だ。

荒れた路面と部分改修でつぎはぎの道路である。ストレートでも油断できない。4輪ならば「ちょっとハズンじゃった」で済むところが、2輪はそうはいかないのだ。マージンを取って、常に最高速100km/h程度におさえて走るようにする。

もうすでに、山の端が白んできている。シャンテは小牧ICで高速を降り、ひたすら41号線を北上していた。ハイパワーなベビーギャングを駆る楽しさは、やっぱり一般道のほうがいい。「とにかくイけばおしまいだナ」との覚悟を要する高速走行は、精神的にキツイ。短時間なら話は別だろうが。しかし、41号線にはなぜか開いているスタンドが無い!? ついに、予備タンクの虎の子18Lを給油する。

午前6時。「よし、ジャスト富山ICだ」OPT・Zである。まさにその時、RX-7は北陸道の先端、滑川ICに到着していた。走行距離406km。「富山まであと19km。全開!」

コロナは飛ばしに飛ばして400kmを走破、糸魚川まで迫っていた。が、ゴールまで余すところまだ約80km。刀は、コロナに先行すること30km。8号線黒部付近だ。

シャンテは? 高山を越え、富山まであと63km…。が、すでに30分近くも路肩に停車しているのだ。メカトラブルではない。ついにガス欠に陥ったのだ。41号線にはなんと、ただの1軒も開いているスタンドがなかった。

かくして、OPT・Zがゴールに滑り込んだのは6時05分。次いでRX-7:6時10分、北陸道、滑川・富山間で150km/hでジャンプして(舗装の継ぎ目?)肝を冷やした刀:6時30分、コロナ:7時06分、最後に、通りがかりのキャリアカーからガソリンを分けてもらったシャンテが到着したのは、7時35分だった。

【海から光り輝く海への記念トロフィーダッシュ、結果!】

OPTION・Z 所要時間:6時間05分/走行距離:656km/平均時速:107.8km/h
サバンナRX-7 所要時間:6時間11分/走行距離:426km/平均時速:69km/h
マッドハウス・スズキGSX400F刀 所要時間:6時間30分/走行距離:419km/平均時速:64.5km/h
コロナ1700SL 所要時間:7時間06分/走行距離:476km/平均時速:67km/h
雨宮シャンテRE12Aターボ 所要時間:7時間35分/走行距離:582km/平均時速:77km/h

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決してこのスピードを真似してはいけませんが(汗)、スタートからゴールまで、ルートは問わずに誰が一番に辿り着くか?っていうのは、まさに日本のお正月を満喫するのにピッタリなドライブ+αだとは思いませんか? まぁ、年末年始はどこもかしこも渋滞予想・・・なので、安全第一でキャノンボール!ですよ。

【OPTION  1982年8号より】

(Play Back The OPTION by 永光やすの)












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Source: clicccar.comクリッカー

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