11月11日ツインリンクもてぎで開催されたSUPER GT 2018シーズンの最終戦「2018 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT 250km RACE GRAND FINAL」。
今シーズンの後半戦、SUGO戦とオートポリス戦を4位、3位と順調にステップアップし、大きな話題となっているModulo KENWOOD NSX GT3。最終戦もてぎでは更なる向上が期待されていました。その戦いはどんなものだったのでしょうか。
予選はQ2へ進出し、道上龍選手は「タイヤが合っていなかった」と語っていますが、それでもシングルの9番グリッドからのスタート。スターティンググリッドにはホンダアクセスのマスコットキャラクター・くるタムも登場して応援!
午後1時30分頃、パトカーや白バイ先導のパレードラップ、フォーメーションラップと続いて250kmレースのスタートが切られます。この時点からコーナーリングに精彩を欠いている印象は拭えず、背後にいたARTA BMW M6 GT3に先行されてしまいます。
道上選手曰く「ブレーキの効きが弱い」とのこと。「単独で走っていたり前にライバルがいない状態であればブレーキは効くのだけど、周りにライバルがいる状態では効きが悪い。経験上感じたところではブレーキに風が当たっていない、熱がこもってフェード状態になっていた」と道上選手は語っています。
ブレーキの効きが弱い状態ではコーナーに対して早めにブレーキをかけて行かなくてはならず、タイムはおのずと下がってしまいます。また、ブレーキがダメな分タイヤを酷使してしまうので、この状態では無交換作戦はまず無理。
予選タイヤのチョイスでレーススタートのタイヤはソフトなものとなっていたのでタイヤ無交換作戦は念頭になかったともいえますが、ピットインでのタイヤ交換もリアのみにするか四輪全てにするかは悩みどころ。
結果的にはこのブレーキトラブルを引きずったまま我慢を強いられるレースとなり、それでも14位で完走となりました。
レース後に道上選手にお話をうかがうと「NSX GT3の構造上の問題なのではないかと思う。ブレーキがハードなツインリンクもてぎではブレーキの温度はかなり上がってしまうので上手い具合に風がブレーキに当たってくれないとフェード状態になってしまう」とのこと。
また「GT3マシンを使うレースでもSUPER GTは特殊なレースで、他のGT3レースはピレリなどのタイヤで統一されたコントロールタイヤ制なのですがSUPER GTはタイヤが選べるんです。グリップ力も格段に違うのでその分ブレーキにも負担がかかるんです」とも語っています。
「まだ来年の話はわからないですが、アップデートしたマシンを使うのであればこういった部分も販売元のM-TECHにフィードバックはするし、これまでも多くの部分をフィードバックしているので、次に出てくるEVOバージョンは改善されているといいですね」
ところでNSX GT3を1シーズン乗ってみての印象はどうだったのでしょうか?
「僕のイメージのNSXはもっとキビキビしたものだったのですが、実際はストレートスピードの速い安定志向のマシンだったと思います。コントロールタイヤにあわせた作りで、それをSUPER GTにあわせて行くのが苦労したところ」。やはり産みの苦しみのような苦労があったようです。
道上選手から見て、今年パートナーを組んだ大津弘樹選手どのような選手だったのでしょうか?
「若くて勢いもあるのでそのフィードバックはかなり役に立ちました。彼ももっと上を見て頑張っていこうというという気迫に満ちていたので、今年の後半からは彼のおかげもあっていい成績も残せました。本当にいい選手になってくれたと思います」
大津選手から見て道上選手は?
「どんなクルマに乗っても一発であわせられるというか、とにかく引き出しが多いというのがスゴイところだと思います。NSX GT3に乗せてもらって、また私生活の部分でも本当に勉強させてもらっています」
来年のことについては「まだ決まっていない」と言いながらも「僕もより年上の方がまだまだドライバーとして乗っているので、僕も出来る限り乗り続けて行きたい」と語ったのが印象的だった道上選手。
来シーズンは今シーズンの経験やフィードバックによってもっと成長したマシンで快進撃をしていただくことを切に望みます。
(写真:松永和浩、高橋秀彰 文:松永和浩)
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Source: clicccar.comクリッカー