目次
CHEVROLET eCOPO CAMARO
純EVでも700ps&813Nmを発揮!
オリジナルのCOPOカマロが登場してから50年が経った今年、シボレーはそのEV版の「eCOPO カマロ コンセプト」を発表した。しかもこのコンセプトカー、ドラッグレース仕様だという。
「COPO」は「セントラル オフィス プロダクション オーダーズ」の頭文字で、シボレーの特注高性能モデルの呼び名である。最初のCOPOカマロは1969年に登場して今にいたる。
eCOPOカマロは純EVで、その製作には電動ドラッグレーシングのパイオニア的存在であるハンコック&レーンレーシングが協力した。ベース車両は2019イヤーモデルのCOPOカマロ。モーターの出力は700ps以上で、トルクは約813Nmだ。シボレーの推定によるとクオーターマイルタイムは9秒台という。
「eCOPOカマロ コンセプトカーは電動化を迎える将来のハイパフォーマンスカーを象徴しています」と語るのはラス・オブレーンズ、GMのパフォーマンス ヴァリアント、パーツ&モータースポーツ担当ディレクターだ。
「オリジナルのCOPOカマロが目指したのは限界を超えることでした。今回のコンセプトカーも同じ精神で未知の領域を探索します」
シボレーがハンコック&レーンレーシングと手を結んだのには2つの理由がある。1つは同チームがNHRAドラッグレースで成功を収めていること。もう1つは、同チームとパトリック・マキューとの結びつき。
マキューはEVドラッグレーシングカーの記録保持マシン「ショック&オウ」の推進役であると当時に、シアトルのボーセルハイスクールが実施する自動車テクノロジー課程の担当者でもある。ここでGMの思惑と一致した。
オブレーンズが次のように補足説明する。
「GMとシボレーは若者のSTEM教育を推進する意志を表明しています。今回はその意思を実行する好例となりました」
ちなみにSTEM教育とは「Science、Technology、Engineering、Mathematics」の頭文字、つまり理工系の教育を意味する。同チームと組むことで、GMは開発と組み立て過程で、同ハイスクールの生徒を10名以上参加させることができたのだ。
eCOPOカマロの注目点は、800Vの電気系を採用したことにある。モーターはボルグワーナー製HVH 250-150を2基使用。これと組み合わせるのはコンベンショナルな「ターボ400」ATのレース仕様。リヤアクスルも生産型COPOカマロのレース仕様をそのまま使う。
800Vバッテリーパックはモーターへのパワー供給が効率的で充電時間も短い。これはドラッグレーシングのエリミネーションラウンド(予選)が、短いインターバルで次々に行われるのでアドバンテージになる。
バッテリーパックは200Vのモジュールを4個使う。単体重量は約175ポンド(80kg)。そのうち2個は後席があったスペースに、もう1個はスペアタイアの収納スペースに、残りの1個はリヤアクスルの上に配置して、後輪への荷重を56%にした。
既存のガソリンエンジン版と高い互換性のあることもeCOPOカマロの特徴だ。ベルハウジングのマウントやクランクシャフトのフランジはLSエンジンファミリーと同じ。つまりほとんどすべてのGM製トランスミッションと組み合わせが可能だという。
こうした既存コンポーネントとの高い互換性を考えると「eCOPOカマロはレーシングマシンのまったく新しい世界を指し示しています」というオブレーンズの言葉もあながち誇張とは思えない。
現在、シボレーとハンコック&レーンレーシングは、ドラッグストリップにてeCOPOカマロの開発を進めている。狙うのはオールニューテクノロジーによる通過タイムの記録更新だ。
エレクトリックブルーに塗色されたeCOPOカマロは、ラスベガスで開催された2018 SEMAショーに展示された。
TEXT/相原俊樹(Toshiki AIHARA)
あわせて読みたい
Source: clicccar.comクリッカー