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【動画】比類なきラグジュアリー「キャデラック エスカレード」を再考する。

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目次

CADILLAC ESCALADE
キャデラック エスカレード

キャデラックが誇るフルサイズSUV、エスカレード。昨今、ラグジュアリーSUVブームが再燃しているようだが、その中にあってこのエスカレードは誤解されているように思う。間もなく20周年を迎える今、あらためてその世界を再考する。

REPORT/渡辺慎太郎(Shintaro Watanabe)
PHOTO & MOVIE/小林邦寿(Kunihisa Kobayashi)

巨大なボディに秘められた、
数々の「おもてなし」精神

こういう仕事を生業にしていると、ニューモデルの国際試乗会に馳せ参じる機会が巡ってくることがある。試乗会の最寄りの空港に降りたつと、そこに我々を会場まで連れて行ってくれる送迎車がやってくる。メーカーによってその車種はさまざまで、キャデラックの試乗会でゲストが一様に「おおおっ!」と歓喜の声を挙げるのがエスカレードである。

空港の到着ロビー付近の車寄せは、タクシーやバスや自家用車などさまざまなクルマでごった返している場合が多い。そんな時、遠くの方から並々ならぬ存在感を放ちながらやってくるエスカレードはたまらなく格好いいからだ。

圧倒的存在感の理由のひとつに、そのボディサイズがある。全長が約5.2m、全幅が2m超、全高が1.9m超。まさに「巨大な塊」が動いているといった風情である。しかしフロントのデザインは現行のキャデラック全車と同じデザイン言語を用いた造形になっていて、前を行くクルマに恐怖感を与えるような物騒な面貌では決してない。押し出し感はサイズや質量で自動的に出るので、さらにデザインで過剰に演出する必要はないという判断は賢明だ。

このサイズを前にすると、まずは大きさに圧倒され、室内を覗き込んで左ハンドルであることに気が付いて、運転を躊躇する人が少なくないらしい。でも左側通行での左ハンドルの運転は、デメリットばかりではない。接触の可能性が高い路肩や電信柱や自転車や歩行者はたいてい左側にあって、そこが目視できる左ハンドルならギリギリまで寄せられるからだ。加えてエスカレードは運転席のアイポイントが高く、全方位で視界が良好なので、物理的に入っていけない路地や小道は事前にそれが分かるので、イチかバチかで先に進んでにっちもさっちもいかなくなるようなこともない。運転のしやすさの鍵を握るのはボディサイズではなく、運転席から何が見えるのか、なのである。

エスカレードは、乗降時にちょっとしたおもてなしを受ける。ドアを開けるとサイドシルの下からスッと自動的にステップが現れる。最低地上高の高いエスカレードでも乗り降りしやすくするための装備なのだけれど、それはまるで高級旅館で仲居さんがスッとスリッパを出してくれる所作のようで気分がいい。

直線基調で彫刻的なエクステリアデザインに対して、インテリアは乗員を優しく包み込む柔らかい雰囲気に包まれている。室内でもっとも多くの空間容積を占めるシートが、試乗車の「プラチナム」の場合はセミアニリンのナパレザー仕様になっていて、これが高級感の演出にひと役買っているのは間違いないだろう。

わざわざオプションリストに目を通す必要がないほど、エスカレードの標準装備は充実している。特にこのプラチナムでは、フロントシートのヘッドレストにそれぞれ液晶モニターが組み込まれていたり、フロントのセンターコンソールには500mlのペットボトルが6本も収まるクーラーボックスまで備わる。アクティブノイズキャンセレーションも含めBOSE社製のプレミアムサラウンドサウンドシステムやDVDプレーヤーなど、エンターテインメントシステムにも抜かりはない。そしてもちろん、レーンキープアシストやサイドブラインドゾーンアラート、フロントオートマチックブレーキやフォワードコリジョンアラートも活用するアダプティブクルーズコントロールといった先進の安全装備が運転をサポートしてくれる。

アメ車の片鱗を感じつつも
走行性能は現代レベル

エスカレードが搭載するエンジンは6.2リッターのV型8気筒で、最高出力426ps、最大トルク623Nmを発生する。実は意外に知られていないのだけれど、このユニットはスーパーチャージャーこそ装着されてないものの、キャデラックのハイパフォーマンスモデルであるCTS-Vと同じ。出力とトルクの特性を変えることで、スポーツカーにも高級SUVにも使える許容範囲の広いエンジンだ。

「高級車の質感」というと、内装の仕立てやトリムの素材などに注目しがちだが、パワートレインの「動的質感」も高級車然とした乗り味を創造するには必要不可欠な存在である。その点、このマルチシリンダーの自然吸気エンジンはNV(ノイズとバイブレーション)が抑えられているだけでなく、高回転域まで滑らかに回り、なだらかな曲線を描くように紳士的に湧き出るトルクのおかげで、悠々とした加速感が味わえる。過給機の付いた小排気量のエンジンが蔓延する昨今にあって、大排気量の自然吸気エンジンの魅力が堪能できるのもエスカレードの特徴のひとつだろう。8速のオートマチック・トランスミッションとのマッチングもよく、スムーズな変速は運転のリズムを乱さないし、2.6tを超える重量級のボディをものともせずに加速させるパワーはなんとも頼もしい。

エンジンのフィーリングには我々が漠然とイメージするアメ車の片鱗を窺わせるものの、乗り心地や操縦性は現代的レベルにしっかりとアップデートされている。マグネティック・セレクティブ・ライドコントロールは、電子制御式の磁性流体封入ダンパーを用いたサスペンションシステムで、路面からの入力の大小に応じて1000分の1秒という単位で減衰力を最適化する。

ラダーフレームのシャシーを採用するにもかかわらず、バネ上の動きを上手に抑え、速度域に関係なく常に同じような快適な乗り心地を提供してくれる。モードの切り替えはツーリング/スポーツ/スノーから選択できるが、スポーツを選んでもハーシュネスが極端に増えることなく、旋回時のロール量をたくみに抑え込む。だからボディがグラッと大きく傾いたりもせず、ワインディングロードへ分け入っても終始安定した姿勢を保ち続けてくれた。

エスカレードをはじめとする最近のキャデラックはどれも完成度が高いにもかかわらず、世間での評価が不当に低いと思う。かつては右ハンドルがオリジナルの英国車でも左ハンドルがもてはやされたり、いまでもアメリカの映画やドラマといったエンターテインメントやコカ・コーラやリーバイスなどの商品が大好きな日本人が、どうして左ハンドルのキャデラックにもっと興味を持たないのか。それは、都市伝説のようなアメ車のイメージを引きずった食わず嫌いに思えて仕方ないのである。

【SPECIFICATIONS】
キャデラック エスカレード プラチナム
ボディサイズ:全長5195×全幅2065×全高1910mm
ホイールベース:2950mm
車両重量:2670kg

エンジン:V型8気筒OHV
総排気量:6153cc
最高出力:313kW(426ps)/5600rpm
最大トルク:623Nm(63.5㎏m)/4100rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:4WD(セレクタブル)

ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン
ハンドル位置:左
サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン 後5リンクリジッド
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後P285/45R22
車両本体価格:1360万8000円(税込)

【関連リンク】
GMジャパン・カスタマーセンター TEL 0120-711-276
http://www.gmjapan.co.jp/

(GENROQ Web編集部)

Source: clicccar.comクリッカー

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