ルノー・メガーヌはヨーロッパではごく普通に使われているCセグメントの乗用車です。たとえばトヨタのカローラスポーツやシビック、アクセラ、そしてVWゴルフなどと同じジャンルのクルマと思って下さい。
通勤や生活に使われるようなごくごく普通のクルマなのですが、そのメガーヌをベースとしたスポーティモデルが存在します。現行モデルはスポーツタイプのメガーヌのみが日本には輸入されています。最初に輸入されたのはGT、そしてGTラインと言われるモデルでした。そして今回、さらにパフォーマンスを高めた「RS」が追加されました。
「RS」の特徴をざっくりと紹介すると、エンジンは1.8リットルのターボで279馬力を発生。これをフロントに搭載して、フロントタイヤのみを駆動するFF方式を採用しています。かつて、スカイライン(R32)にGT-Rが復活したときに採用されたRB26DETTが280馬力でした。標準のスカイラインはFRでしたが280馬力の出力を効率よくかつ安全に使うために採用されたのがアテーサE-TSという4WDシステムであったことを考えると、279馬力をFFで走らせるというのはかなりのシャシー性能が求められることになります。
このシャシー性能を実現するのが3つの要素です。まずひとつ目、これが一番大きな要素で4コントロールと呼ばれる4輪操舵システムです。もっともスポーティなレースモードを選ぶと100km/hまでは逆位相(フロントタイヤが右に切れていればリヤは左)、100km/h以上は同位相(フロントタイヤが右に切れていればリヤも右)に動く4輪操舵を採用しています。レースモード以外のときの同位相-逆位相の切り替えは60km/hになります。
リヤ操舵だけではく、フロントのサスペンションも強化されています。フロントはストラット式で、FF車としてはベーシックな方式ですが、ストラットに直接ナックルを取り付けるのではなく、上下に長いアームを介してから取り付けるダブルアクシスストラットサスペンションと呼ばれるものが採用されます。この方式とすることでキングピン角度の減少をねらっています。これはかつてトヨタが採用していたスーパーストラットに近い発想と言えます。
ショックアブソーバーは内部にもう一つの小さなショックアブソーバーを内蔵するような構造のHCCと言われる方式となります。通常フルバンプ時(もっとも縮んだとき)は、バンプラバーと言われるゴムパーツが力を受け止めます。こうすると動きが急激に制限されることになりますが、メガーヌRSのHCCではバンプラバーに当たる前に、ショックアブソーバー内に内蔵された油圧装置がゆっくりと圧縮されるため、ストロークの急激な制限が行われないというメリットがあります。
レーシングスタートを実現するローンチシステムも備えながらも、パーキングアシストも装備するドライバーに優しいクルマで、万が一の際の自動ブレーキや車線逸脱防止なども装備します。
メガーヌRSは5ドアモデルと3ドアモデルが存在しますが、今回日本に輸入されるモデルは5ドアのみです。2017年に輸入されたCセグメントのスポーツモデルは4300台に上りますが、そのうち3ドアハッチバックはわずか9%でしかありませんでした。この9%はすべてメガーヌRSでしたが、今回は5ドアに絞っています。
また、同4300台中、2ペダルモデルが82%、クラッチ付きMTは18%でしかありませんでした。クラッチ付きMTが存在するのはメガーヌRSとゴルフGTIでした。今回はデュアルクラッチ式6スピード・2ペダルのみの輸入となっています。3ドアモデル、MTモデルの導入も考えられてはいるようですが、詳細はまだ不明です。
この高性能スポーツCセグハッチバックを、ルノーテストドライバーのドライビングに同乗し確認しました。詳細はです。
(諸星陽一)
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Source: clicccar.comクリッカー