初代1000から数え、25年目を迎えた王道ネイキッドのCB1300シリーズ。四半世紀に及ぶ歴史の中で、初めて「SP」の名を冠する最高峰モデルが衝撃デビューを果たすことになった。正式発表はまだだが、現時点で得られた全情報をここに公開し、実像に迫る! ※ヤングマシン2018年9月号(7月24日発売)より
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オーリンズ+ブレンボで操る歓びを高めた上級版
ステージ上のマシンからベールが外されると、大きな歓声が巻き起こった──7月9日に開催されたCBオーナーズミーティングで突如、CB1300SF/SBの新バージョン「SP」が世界初公開されるサプライズがあったのだ。本誌スクープがまたも的中となった今回のSP仕様。この称号は、走りを追求したホットバージョンに与えられ、レーサーレプリカ世代にはなじみが深い。近年は、CBR1000RRなどにSPが用意されるが、BIG-1=CB1000/1300シリーズに設定されるのは、25年に及ぶ歴代モデルで初。「スペシャル」と呼称するモデルは存在したが、これほど足まわりを強化した仕様は前例がない。
目玉は、ご覧のとおり前後オーリンズショックとラジアルマウントのブレンボキャリパーだ。サスは、既製品のオーリンズをベースに、ホンダとスウェーデンのオーリンズ本社が共同開発。上質さやコントロール性を追求したCB専用セッティングとなる。カラーリングにも注目されたい。名車CB750Fの’82年型(FC)をオマージュしたトリコロールは、SP専用色で、現行1300では初採用。まさに、SPの名に恥じないパッケージである。限定ではなく、レギュラーモデルとして販売されるのも朗報だ。
車高8mmアップで軽快に!
サスの開発にあたって入念なテストを行い、スポーツ性能のみならず、街乗りやツーリングを含め、トータルで楽しく快適なセッティングを狙った。車高は、STDから前後とも8mmアップし、一段と軽快感が増すという。ブレンボ製Fキャリパーは、現行CBR1000RR SPと同じ高剛性なモノブロック4ピストン。さらに、CBのキャラクターに合わせ、マスターシリンダー径とホースの硬さを変更し、効力はそのままにコントロール性を重視した設定としている。また、既製品のCB1300用オーリンズFフォークは、キャリパーのマウントが一般的な横締め(スラストマウント)だが、SPでは縦に締結するラジアルマウントに。より高い制動力を発揮する。
このSP、価格も大いに魅力的だ。’16年に発売されたZRX1200ダエグ用のオーリンズプレミアムパッケージは、サスのみの前後セットで44万2800円。一方、CB1300SPの予想価格設定(STD+約40万円)はキャリパーも装着されていることを考慮すると相当なお買い得と言えそうだ。さらに、SPの足まわりは純正部品としても設定される。既にCBを所有しているオーナーでも、後付けでSPにバージョンアップ可能なのだ。
新排ガス規制に対応しつつ9㎰アップと使い勝手向上
1300として2代目のSC54に深化してからも14年が経過しているCB1300。既にスタイルやディメンジョンは完熟の域に達している。’08年型では、基本フォルムを踏襲しつつ、細やかなモデルチェンジで、より魅力を増した。’14年型で6速化した1284㏄直4エンジンは、平成28年排ガス規制に対応しながら、+9㎰の110㎰にアップ。握る力を約26%軽くし、エンジンブレーキを緩和するアシストスリッパークラッチも新採用した。電源ソケットや耐久性の高いウェーブキー、ヘルメットホルダーを新採用するなど、かゆい所に手が届く変更点も随所に施される。この完成度に、強化した足まわりをインストールしたSPは、まさに鬼に金棒だろう。
文:沼尾宏明
撮影:山内潤也
Source: WEBヤングマシン