BMWは早くからSUV(同社ではSAV=スポーツ・アクティブ・ビークルと呼ぶ)のジャンルへ参入したメーカーです。今回の2シリーズではさらにSAC=スポーツ・アクティブ・クーペという位置づけにしました。
2シリーズの追加でXシリーズはX1からX6まで6種類のSUVをラインアップしたことになります。通常、BMWのラインアップでは奇数番号がセダンやワゴンなどのベーシック系、偶数がクーペやオープン、グランツーリスモなどのスポーティ系となります。
Xシリーズの場合はすべてがSUVですが、奇数系のX1、X3、X5はルーフパネルがエンド部までフラットでユーティリティ優先のデザイン。偶数系のX4、X6はルーフパネルがなだらかに下がるクーペライクなデザインでスポーティなデザインとなります。
新しく追加されたX2もこの例に漏れず、スポーティなデザインでまとめられた若々しいモデルです。
X1の全長が4455mmなのに対し、X2は4375mmと80mm短くなります。全幅は1825mmでX1よりも5mmだけ幅広、全高はX1の1610mmに対して1535mmと65mmも低くなっています。全幅ではX1よりも少しだけ大きなX2ですが、ボリューム的にはもっともコンパクトなBMW SUVということになります。
試乗車はxドライブ20iで搭載されるエンジンは4気筒の2リットルターボ、最高出力は192馬力、最大トルクは280Nmとなります。最高トルクの発生回転数は1350〜4600と広範囲にわたりフラットです。このエンジンに組み合わされるミッションは8速のATです。
オートモードで走っている際は多段化されたミッションのおかげで変速ショックのないスムーズな加速が快適です。一方、パドルシフトを使ったマニュアル操作でも瞬時のシフトチェンジが可能で、ワインディングではスポーティな走りができます。
乗り心地はちょっと硬めです。ほかのBMW同様にランフラットタイヤを履くため、とくに路面の継ぎ目などタイヤが受け止めるようなショックをよく拾います。ペースを上げていくと、徐々にこうした継ぎ目のショックは減っていきます。
どの速度を設計目標にするかによってこうした特性は変わりますが、ヨーロッパ車は低速度でのちょっとした振動よりハイスピードでの快適性を重視しているということがわかります。コーナリングはBMWらしいシャープな印象で、なかなかのハイスピードドライブが可能です。
ロールはそれなりに発生しますが、そのロールが不安感をともなわないのは足まわりが粘り強くグリップするからでしょう。
ユーティリティ性は高くラゲッジルームは470リットルの容量を確保しています。ラゲッジフロア下のスペースも大きく、使い勝手がいいものです。リヤシートを前倒ししてラゲッジルームの拡大ができるのはあたり前ですが、一般的な6対4分割ではなく、上級モデルによく見られる4対2対4の3分割方式で、センター部分を倒すと長尺物を搭載しつつ4名乗車が可能となります。
そのリヤシートですが、スペース的には十分なのですが、クッションの前後長が短めで体重分散がしきれず、落ち着かない乗り心地となります。
(文・写真:諸星陽一)
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Source: clicccar.comクリッカー