旧型クラウンの「アスリート」系といえるのが「Runabout-Sports(ランナバウト・スポーツ)」の略である「RS」系でしょう。2.0Lガソリンターボ、2.5Lハイブリッド、3.5Lハイブリッドの全パワートレーンに用意されており、新型クラウンの主力グレードです。
「RS」は、先述したように「ランナバウト・スポーツ」の略だそう。トヨタの75年史によると、1984年登場の「MR2」の車名は「Midship Runabout 2 Seater」の略称。99年デビューの「MR-S」は、「Midship Runabout-Sports」の略で「ミッドシップ方式の小型車」の意味が与えられていたそう。ほかにも、ヴィッツRSのRSも「Runabout-Sports(ランナバウト・スポーツ)」という意味が付与されています。
「RS」の特徴は、まず「AVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンション・システム)」を全車に標準装備している点。その名のとおり、路面状況に応じてダンパーの減衰力を制御するシステム。いわゆる電子制御ダンパーになります。
さらに、クラウンは「NAVI・AI-AVS」という技術が採用されていて、ナビのコンピュータから受信した車両前方のコーナー情報をもとに、あらかじめダンパーの減衰力を制御するという機能も付加されています。
このNAVIの制御を人間が感知するのはかなり難しいでしょうが、ダンパーの進化は大きく、先代から応答性が向上し、ロールやピッチ、上下動といった動きが抑制されているのが分かります。
もっとも新型クラウンはAVS装着車以外でもフラットライド感が高く、乗り心地がいいのが特徴で、AVSになると、「ノーマル」、加速感が増す「スポーツS」モードを問わず、ボディの無駄な動きが少なく、高いコーナリングスピードが楽に維持できる印象。
さらに、最もレーシーなー「スポーツモード+(プラス)」も用意されていて、こちらにすると、シャーシはスポーツ制御になります。ただし、実感としては少し足が硬くなったかな、と察知できるくらいで、「スポーツS」と「スポーツモード+」で大きな差は感じられませんでした。
逆に言えば、「スポーツ」モードにすると、車内にエンジンサウンドが導入される機能も含めて、自然なフィーリングが追求されているとも言えそうです。
(文/塚田勝弘 写真/井上 誠)
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