OPTスーパーMR2(AW11)が1984年より挑戦していた谷田部最高速。第1次仕様で252.19km/hを記録、更なる記録更新を狙って再度、谷田部に挑んだものの…走行中、いきなりエンジン音が消えたMR2。その姿は、こりゃビックリな左ドア外板が飛んだ!というものでした。では早速、続きをドーゾ!
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目次
<OPTスーパーMR2への挑戦>初のエンジンブローを経験!
内板はボディに残っているが、外板とアクリルウインドウはまったく形が無い。ドアは内側からアルミステーで固定しているので内板は残ったのだが、内板と外板の接合部分が剥離してしまったのだ。アクリル製ウインドウのルーフ側が外側に引っ張られて、ウインドウを固定しているドア外板にだけストレスがかかったのが原因と考えられる。それにしても、空気の力は想像を絶する!
すぐにノーマルドアに交換。Daiから「コース上のドアとウインドウをすぐに片付けろ!」との声が飛ぶ。5分ほどでコース上クリアの連絡が入るが、左ドアが剥離したということはドライバー側のドアにも十分にその危険性があるということだ。が、テスト終了時間がそこまで来ている! Daiに状況を説明すると、右ドアはこのままでOKのサインが出る。
【信じられないオーバーヒート発生】
2速、3速の引っ張り方を見て、次のラップで記録を出そうとしているのは明らかだ。裏のストレートも全開に近い音が聞こえる。まさに祈る気持ちで第2バンクの出口を全員が見つめる中で、またもエンジン音が消えた!
時実さんが一言、「今度はエンジンかもしれない」。MR2がピットに帰ってくるまでの2分間ほどは、全ての時間が止まっているようにさえ思われた。ピットにエンジンオフのままで戻ってきたMR2は、ファーストバックのアクリル板の内側を水蒸気で真白にしながらスタッフの前に止まる。エンジンオイルもかなり吹いているようで、テールランプ周辺はベトベトだ。
誰が見てもオーバーヒートだ。クルマから降りたDaiも「水温が90度までジワジワと上がったかと思うと、ポンと針が振り切ってしまった」と状況を説明する。今までのテストでは常にオーバークールで、ラジエターにガムテープを貼って走っていたほどなのに、今回に限ってオーバーヒートが発生した。しかし、エンジンルームを開けた途端に原因は判明した。ロワ側のラジエターホースがブロック側で外れていたのだ。急激にトルクがかかったときのエンジン・ハンチングによって、ホースバンドが外れたのが原因と考えられる。
考えもしなかったトラブルだが、オーバーヒートによりヘッドは歪んでしまっているだろう。OPT・MR2が初めて経験したブロー。そして記録を更新することなくテストを終了するという屈辱を、スタッフ全員が味わうことになった。
250km/hオーバーという記録を甘く見ていたわけではない。パワーも空力面もすべて問題はなかったハズ。しかし、この手のトライで一番悩まされるやっかいなマイナートラブルが発生しだしたことは確かだ。次回までにボルト1本までチェックして、最後の最高速にトライする予定だ。
ドラマチックな一日が終わった…。
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イヤイヤ、逆に、ここまでエンジンブローが無かったことがビックリな快挙かもしれません。ドア外板ブッ飛びはビックリでしたけどね! では次回は、今回の最終トライで製作されたボディセクションの詳しくをプレイバックします。
[OPTION 1985年1月号より]
(Play Back The OPTION by 永光やすの)
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