ボルボのプレミアムSUV、XC60に待望のディーゼルモデル「D4」が追加されました。さっそく試乗車を借り受けて、北海道から東京まで1100kmのロングドライブを敢行したのですが、ディーゼルエンジンの素晴らしさに加えて、ロングツアラーとしてのさまざまな魅力に気付いたのでご報告しましょう!
千歳空港でクルマを借り受けて美瑛町。そこから苫小牧まで南下してフェリーに乗り、八戸からみちのくの旅へ。XC60でこうしたルートを案内するナビゲーションシステムは、オーディオやエアコンなどとともに「SENSUS(センサス)」というインフォテインメントシステムに統合されています。
コントロールは一部音声でも可能ですが、もっぱら使うのはダッシュボード中央部にあるタッチスクリーン式の大型ディスプレイ。このディスプレイはサイズが9インチあるうえに縦長なので、カーナビの地図表示などには非常に役立ちました。そのほかBluetooth経由で電話ができたり、Apple Car Playを通じてiPhoneをコントロールすることも可能です。
東北の玄関口となった八戸では、人手の多さでは日本最大級ともいわれる舘鼻岸壁の朝市を冷やかしてから、国道340号線のワインディングを楽しみました。
XC60のハンドリングはリニアで、SUVにありがちな応答遅れなどは気になりません。ドライブモードを「ダイナミック」にするとエアサスペンションが20mmダウンし、エンジンやトランスミッションの特性も高回転型にシフトします。ワインディングをかなりのペースで飛ばすことも可能ですが、残念なのはシフトのマニュアル操作。シフトレバーだけでなくパドルシフトが可能になれば、その魅力がいっそう引き出せると思いました。
南郷ICから八戸自動車道に乗り、東北道経由で東京を目指します。
今回、XC60 D4で望外の収穫だったのは、オプションのエアサスペンションが実現する極上の乗り心地でした。渋滞に付き従うような低速域から東北道での高速走行まで、ボディが不快に揺動することは皆無。実に当たりが柔らかく、懐の深い乗り味を提供してくれるのです。純正装着のタイヤ(ミシュラン・ラチチュードスポーツ3。235/55R19)も効いていると思うのですが、同乗するHカメラマンが思わず漏らした「しかしこのクルマ、いい乗り心地だねえ」という言葉が耳に残りました。
この乗り心地のよさとともに、帰路の高速で絶大な力を発揮したのが、アダプティブ・クルーズ・コントロールやパイロット・アシストといった運転支援システムです。XC60では加減速や車線保持の制御がいっそう緻密になり、東北道ではほとんど主体的な操作を行わなかったほどです。
長距離ドライブでは、路面や他車を絶えず監視し、ステアリングやアクセル、ブレーキを操作し続けることが激しいストレスとなります。XC60の運転支援環境はこうしたストレスの低減に圧倒的な効果を持つことを、身をもって学びました。
XC60 D4の優れた点はいろいろあります。しかし筆者が圧倒されたのはそういった個々の機能よりも、それらが協調しあい、「長距離を快適に走るクルマ」として圧倒的なまとまりを見せている点でした。視点の高さ、ステアリングのギア比、乗り心地、ドライバーを助ける電子デバイス、800kmを走れる足の長さ、そしてなによりトルクフルなディーゼルエンジン。これらが響きあって生まれるものすごい完成度。
その完成度が気になった人は、一度ディーラーへ試乗に出かけてみるのも悪くないかもしれません。
(文:角田伸幸/写真:平野 学)
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Source: clicccar.comクリッカー