ドイツで初めての大気汚染対策としてディーゼル車の通行を禁止する措置が北部の都市ハンブルクの市街地で31日から始まりました。
ディーゼル車の通行が禁止されたのは、ハンブルクの市街地を通る2つの幹線道路の一部区間で、通行禁止を示す標識が新たに設置されました。
ドイツの連邦行政裁判所がことし2月、大気汚染対策としてディーゼル車の通行禁止を容認したことを受けた措置で、厳しい排ガス規制をクリアした一部の車両を除きディーゼルの乗用車やトラックは31日から通行できなくなりました。
今回の通行禁止の措置でハンブルクで登録されている26万台余りのディーゼルの乗用車のうちおよそ17万台が影響を受けるとみられます。
ハンブルクの環境対策の責任者は会見で「自動車メーカーが消費者を裏切り、政府が何年も問題を放置してきたため、通行禁止措置に踏み切らざるを得なかった」と政府などを批判しました。
ドイツではハンブルク以外にもおよそ70の都市で大気汚染が基準値を超え国民の間では、大気汚染対策が不十分との不満が高まっていて、今回のようなディーゼル車の通行禁止措置がほかの都市にも広がる可能性があるほか、自動車メーカーも対応を迫られそうです。
ドイツ政府と自動車業界はディーゼル車を燃費がよく環境に優しい「クリーンディーゼル」として普及を推し進めてきました。
しかし、2015年にフォルクスワーゲンのディーゼル車の排ガスをめぐる不正が発覚して以降、自動車販売全体に占めるディーゼル車の割合は急激に減少しています。
首都ベルリンにある中古車販売業者によりますと、ディーゼル車離れが進んでいるため、ディーゼル車の下取り値段を以前より30%から40%下げているということです。
今回、ハンブルクでディーゼル車の通行禁止措置が始まったことで、ディーゼル車の需要は、さらに減少するものとみられます。
中古車販売店を営む男性は、「政治家は巨大な自動車メーカーと対策を話し合っているのに誰も、公正な解決策を見いだそうとしていない」と、政府や業界の対応を批判しました。
ドイツ政府はこれまで自動車業界の雇用に配慮して、ディーゼル車の通行禁止にまでは踏み込まず、自動車メーカーに対しても費用負担が大きいとして抜本的な対策を求めてきませんでしたが、こうした政府の姿勢に国民の不満が高まっています。
5月31日 23時04分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180531/k10011460501000.html
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Source: 新型車情報局