スバル躍進の理由は「北米市場での成功」が大きい。ちなみに今年は北米市場に参入してから50周年の年となる。販売台数を振り返ると、2006年までは途中浮き沈みも経験しながら緩やかなカーブで20万台前後まで伸びていったが、そこから先で急激に加速度が増し、2017年は64万7000台を記録。この快進撃は何がキッカケだったのだろうか?
今回、ニューヨークショーが開催されたマンハッタンからクルマで1時間半と言う立地にあるニュージャージー州の販売拠点「World SUBARU」に行き、販売現場の『生の声』を聞いてきた。
対応してくれたのは、マネージャーのジョーさんだ。
――2008年以降、北米の販売が急上昇していますが、その理由は?
ジョー リーマンショックで経済は混乱、自動車産業も大きく落ち込みましたが、スバルは「正しいクルマ」を「正しいタイミング」でリリースした事が大きかったと思います。
――2009年に5代目レガシィ、2011年に4代目インプレッサ、2012年に4代目フォレスターが登場しています。
――つまり、北米市場にとって「正しいクルマ」が「正しいタイミング」で登場した……と言うわけですね。他には何かありますか?
ジョー 2007年からスバル・オブ・アメリカ(SOA)独自で「LOVEキャンペーン」と言う広告展開をスタートさせましたが、その効果も非常に大きいと考えています。
――具体的にはどんな感じでしょうか?
ジョー 自動車の広告と言うと「スペック/値段」をアピールすることが多いのですが、スバルはオーナーの愛車への思い入れ(=LOVE)を強調した宣伝活動を行ないました。これに共感する人が増え、認知やブランドバリューがアップしていきました。
それ以外にも、販売店独自に「LOVE PROMISE」と言う取り組みも行ないました。これはクルマを売る以外に地域と関わりを持ち、それ以上の関係を持つことです。チャリティやボランティアなども行なっています。
――このような取り組みは、他のメーカーの販売拠点では行なわれているのだろうか?
ジョー ないと思います。私は以前他メーカーの販売拠点で働いていたのでよく解ります。――ちなみに、ユーザーはスバル車のどの部分に魅力を感じているのでしょうか?
ジョー 一つ目は「安全性」、二つ目は「所有に誇りを持てる」、そして三つ目は「販売店との関係」ですね。
――購入者の年齢層はどうでしょうか?
ジョー 非常に幅広いですが、新型インプレッサ/XVの登場で20代の若い人も増えています。逆にフォレスターは30代前半からの層が多く、家族が増えてスペースを求める人が多いですね。一方、WRXなどのスポーツモデルは価格も高いので40~60代の方が多いです。私は先日64歳の方に販売しましたよ。
――World SUBARUでは年間どれくらいの台数を販売していますか?
ジョー 2017年は1600台くらい販売しました。全米631店舗中84位、認定中古車は全米7位でした。
――スバルに対するリクエストはありますか?「●●ならもっとたくさん売れるのに」と言うような……。
ジョー アセントや新型フォレスターなど新商品の拡充は嬉しいですが、もっとクルマをアメリカに送ってほしいですね。弊社の在庫は300台ありますが、欲しい仕様がないと2~3か月待っていただいている状況です。
このように販売店とユーザーの関係を見ると、デジタルな時代だからこそリアルな“繋がり”が重要であることを証明している。日本でも富士重工業株式会社から株式会社SUBARUに社名変更する際に、「モノをつくる会社から、笑顔をつくる会社へ」と言うキャッチフレーズを掲げたのは、アメリカでの成功の影響も大きいのかもしれない。しかし、クルマの性能がシッカリと伴っていること……と言うのは、決して忘れないでほしい。
(山本シンヤ)
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Source: clicccar.comクリッカー