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「おもてなし」をカタチに。トヨタ JPN TAXIのデザインに込めた「心」とは?

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20年以上に渡り活躍したクラウンコンフォートに代わって、いよいよ街を走り始めたトヨタJPN TAXI。大きく変わった独自のスタイルには、どんな意図が込められているのか。担当デザイナー氏に聞きました。

── まずサイズからお聞きします。この3サイズ(4400×1695×1750mm)はどのような理由で決まったのでしょう?

「車椅子利用者がそのまま乗車でき、かつ日本の交通環境で取り回しのよいコンパクトなサイズ感を目指しました。FFながらも回転半径をクラウンコンフォートと同等とし、利用者だけでなく、ドライバーにとっても使い易いパッケージですね」

── 2BOXにしたのはロンドンタクシーの影響ですか? また、セダンやワンボックスなどの案はありましたか?

「背の高さは車椅子の乗降が前提ですが、日本のタクシーは冠婚葬祭やビジネスなどフォーマル性を求められるので、ワンボックスではなくセダン的な佇まいを狙ったのです。また、外国人の方は、オートドアや手袋をしたドライバーなどの「おもてなし」に感動するといいます。その「心」をカタチで表現できないかと」

── 全体的に、角に丸みを持たせたのはなぜでしょうか?

「利用者アンケートでは、タクシーに求める要素としてまず気軽に乗れる「親しみやすさ」、2番目に先の「フォーマルさ」があります。その両立のため、いわゆるスピードシェイプではなく、全体は水平・垂直基調で「フォーマルさ」を、角の適度な丸みで「親しみやすさ」を狙ったのです」

── リアハッチはかなり寝ていますが、空間確保のためにはルーフを引いてハッチを立てる方がいいのでは?

「タクシーは駅や空港に多数並びますので、景観に威圧感や違和感を与えたくない。また、バックドアのヒンジ位置を前にすることで後ずさり量が減ります。タクシーが並んだときでもバックドアが使いやすくなる配慮ですね」

 

── 四角いグリルはトヨタ車の「キーンルック」「アンダープライオリティ」とは表現が異なりますね

「両者はTOYOTAブランドのデザインアイコンですが、全ての車種に採用するものではありません。各地域の市場状況や、各車両の特性・見え方に配慮して展開しています。多数並んでも違和感が少なく、どんな風景にも馴染むよう水平・垂直基調としました」

── 前後バンパーなどは容易に交換可能な形状、素材にする案はありませんでしたか?

「実はバンパーコーナーは前後とも3分割構成で、補修費を低く抑える効果があります。また、前後ランプともアウターレンズのみの交換が可能で、レンズ破損時の交換費用も低減しました。さらに、塗装は補修のしやすいソリッド色を標準設定しています」

── フロントドアは、スライドドア同様にプレスドアにするとボディの面一感が上がるのでは?

「運転席の視界を極力良くするため、細幅サッシュタイプのドアフレームとしました。また、フロントピラーの位置も煩わしさの少ない配置としています」

── テーマカラーを紺色としたのはなぜでしょう?

「ニューヨークのイエローキャブやロンドンのブラックキャブなどは、統一された独自の世界観を持ち合わせています。日本のタクシーも、アイコン化により魅力的なものとして印象づけたい。藍色は太古より使用され、江戸時代には歌川広重の「ヒロシゲブルー」、明治では外国人達が日本中にあふれる藍色を「JAPAN-BLUE」と称賛しました」

── 古くから日本を象徴する色と言えるわけですね。本日はありがとうございました

【語る人】
郷 武志(ごう たけし) 氏
トヨタ自動車株式会社 TCカンパニー デザイン部プロジェクトチーフデザイナー
1991年トヨタ自動車入社。先行開発などを経て、iQや現行ヴィッツの内装デザイン、欧州向けヤリス・ハイブリット外形デザインを担当。現行シエンタに続き、JPN TAXIではプロジェクトチーフデザイナー。現在、第2デザイン室室長兼務。

(インタビュー・すぎもと たかよし)






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Source: clicccar.comクリッカー

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