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ブリヂストンから5つの新バトラックス

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ブリヂストンから「バトラックス」ブランドの新製品が一気に5種類も登場。ジャンルはツーリング/アドベンチャー/スクーター(2種)/レーシングで、公道向け商品はウエット性能の向上を図っているのが特徴。加えてサーキット専用の新製品「バトラックス・レーシングR11」には、公道用タイヤへの展開が期待できそうな注目技術も投入されている。順を追って紹介しよう。

目次

ウエット能力&軽快感を高めたツーリングタイヤ

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BATTLAX SPORT TOURING T31

従来の「T30EVO」の後継となるツーリングタイヤで、「ウエット性能」と「ドライでの応答性」を高めているのがポイント。具体的には、前者はショルダー部の溝を増やすことでバンク時の排水性を増し、センター部は溝を減らすことでブロックの剛性を上げてウエット路面での制動距離短縮を実現。後者は溝配置の工夫で接地面を増やし、キャンバースラストを大きくすることなどで達成している。フロントにはゴムの柔軟性を高め、路面への食い込みを高めた新コンパウンドも採用。性能を向上させつつ、耐摩耗性はT30EVO同等を保っている。

前モデル・T30EVOとのウエットブレーキ比較。80km/hからの完全停止で、バイク約1台分の差がついている。

主にウエット性能でT30EVOを凌駕しつつ、ドライでのハンドリングや総合性能も向上。耐久性も同等を維持。

BSによれば、競合タイヤと考えているのはミシュランのロード5やピレリのエンジェルGT、メッツラー・ロードテック01など。開発時のメイン機種はスズキ・バンディット1250。車体のバランスや電子制御の少なさなどで、タイヤの性格が判断しやすいという理由で用いられているが、もちろん電制入りマシンでの確認もしっかり行われている。外観的にはトレッド面に刻まれたデコレーショングルーブ(デザイン上の細い溝)とトレッドサイドの「T31」のロゴが特徴だ。発売は‘18年2月を予定している。

細いデコレーションラインとトレッドサイドのタイヤロゴがバトラックス・新シリーズの外観上の特徴だ。

サイズ表。「GTスペック」はVFR1200FやFJR1300、BMW K1600などのパニア付き重量車に適合するサイズ。

抜群の直進安定性とウエット性能を誇るアドベンチャー用

BATTLAX ADVENTURE A41

ブリヂストンのビッグアドベンチャー用タイヤ「A40」の後継機。T31同様に大幅なウエット性能の向上と、加えて直進安定性の改善が施されている。その改善方法はT31と類似するが、センター部の溝を減らすことによるブロック剛性のアップは、A41では直進安定性の向上にも寄与しているという。ウエットグリップの向上にはブリヂストン独自のタイヤ解析技術「アルティメットアイ」を用い、フロントタイヤの接地長を5%伸長(接地圧も均一化)させたことなども効果を発揮。コンパウンドもフィラーやシリカの比率をアップさせた新開発のもので、摩耗ライフもA40同等という。

A40とA41のフロントタイヤで接地面積を比較したもの。A41は縦方向に面積が広がったうえ、接地圧もより均一化(=赤い部分が減っている)されているのが分かる。

性能面は全面的に前作A40を上回り、ライフや静粛性も同等をキープする。

開発のメイン機種はBMW R1200GSで、競合タイヤはメッツラー・ツアランスネクストやミシュラン・アナキー3などが想定されている。やはりT31同様にデコレーションラインとロゴマークが刻まれ、発売も‘18年2月の予定だ。

A41のサイズラインアップ。サイズによってはチューブタイヤにも対応している。

スポーツ/日常使いの2ライン構成に

BATTLAX SCOOTER SC2/SC2 Rain

バトラックス スクーターSC2

■バトラックス スクーターSC2レイン

スクーター用タイヤ「BATTLAX SC」のモデルチェンジ版で、スポーツスクーターの楽しさをより引き出す「SC2」と、日常使いに特化し、特にウエット性能を際立たせた「SC2 Rain」の2ライン構成となったことが最大の特徴だ。

ヤマハTMAXをメイン機種として開発されたSC2は、トレッドパターンをBSのスポーツラジアル「BATTLAX HYPERSPORT S21」を踏襲するスポーティなものとし、新コンパウンド採用や各部剛性のチューニングなどで前作SCを全面的に上回る性能を獲得。BMW C650GTがメイン開発機のSC2 RainはT31譲りのトレッドパターンとし、シリカ比率を高めた新コンパウンド(リヤのセンターに採用)などで、SC2以上にウエット性能を高めている。デコレーションライン/タイヤロゴも刻まれ、やはり‘18年2月発売だ。

従来型のSCと、SC2/SC2レインの性能比較。SC2でも十分に前作を上回るが、SC2レインはさらに高レベルのウエット性能を有する。

SC2とSC2レインのサイズラインアップ。一部に重複しないサイズもあり。

 タイムを削り取るサーキット専用タイヤ

BATTLAX RACING R11

サーキットユーザーにのみ限定して販売されるクローズドコース専用タイヤで、前作R10を圧倒的に上回るグリップ力と接地感を目指している。注目はタイヤトレッド面の剛性を部位ごとに、事細かにチューニングできるという新技術「V-MS・BELT」。これにより接地圧をより均一化し、トレッドを効率的に接地させることでグリップを向上。主溝をサーキット走行時の入力と同方向に配してトレッド剛性を最大化することや、V-MS・BELTに既存技術「GP-BELT」を組み合わせたシナジー効果で、R10よりも早くスロットルを開けられるグリップ力も得ている。

新設計のベルト構造「V-MS・BELT」。トレッド部の剛性分布を最適化し、より均一な接地圧が得られる。

前作R10との性能比較グラフ。サーキットで要求される全領域でより高い能力を有している。

CBR600RRを用いたオッシャースレーベンでのR10との比較テスト結果。ベストタイムは1秒24、8周の平均でも1秒05速いタイムをマークしている。

開発は主にCBR600RRにリヤ190(ノーマルは180/55)を履かせた状態で行い、ドイツのオッシャースレーベンサーキットでは、ベストタイムでR10に1秒24もの大差を付けているという。開発ではR10を上回ることに注力したが、競合タイヤは強いていえばピレリのスーパーコルサV2とのこと。サイズによってソフトとハードのコンパウンドが選択可能だ。

また今回、ブリヂストンはT31/A41/SC2/SC2 Rainの4銘柄について、メーカー希望小売価格を設定することを発表した(従来はオープン価格)。もちろん、実勢価格はショップによって差がつくはずだが、ユーザー側に“基準”ができ、実勢価格の透明性が増すのがメリットだという。値崩れを防ぎ、タイヤのプレミアム性を維持するのにも有効だろう。

「安心と走る喜びを提供するのがバトラックスシリーズ」と語る、ブリヂストン・MCタイヤ事業部長の内田達也さん(右)と、「スポーツ/ツーリング/アドベンチャーの3ジャンルは競争が激しく、生き残るには頻繁なアップデートが欠かせない(実際、T31とA41は3年でのモデルチェンジ)」という、MCタイヤ開発部の高橋淳一さん。

Source: WEBヤングマシン

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