今見ても価値がある平成初期の名車『平成アーリーズ』を紹介するコーナー。90年代から00年代初頭の特徴あるモデルを紹介していきます。
平成11年(1999年)に登場したS15型シルビアはボディサイズを5ナンバー枠にダウンサイジングしたことで話題となったモデル。FRの駆動方式にターボエンジンをラインナップしていることから現代でも人気が高く、街中でもよく見かけますね。
しかし今回紹介するのは2000年に登場したオープンモデル『ヴァリエッタ』です。これはNAエンジンを搭載したスペックSというグレードをベースにフルオープン仕様としたものでした。
屋根が開くモデルはS13時代にソフトトップの『コンバーチブル』というものが存在していましたので、シルビア史上初というわけではありません。しかしこのヴァリエッタが特殊なのは、ルーフが2分割のハード素材でできているCC(クーペカブリオレ)方式だったことです。
オープン時にピラーが残らないフルオープンでのCC方式は日本初でした(ピラーが残るタイプでは1990年のトヨタ・ソアラのエアロキャビンが先行)。電動メタルトップの開閉に要する時間は20秒ほど。ルーフを閉じればテールが長めの完璧なクーペスタイルになります。
なおヴァリエッタのもうひとつの大きな特徴はフルオープンモデルでありながらリアシートが備わっていることです。
大人4人が乗ることは厳しいですが、小さな子供と一緒のドライブなら問題なく行えるでしょう。
さて、このヴァリエッタの2018年現在の状況を見てみましょう。生産台数が1000台強と非常に少なかったため中古車の入手はなかなか容易ではありません。ただし極端なプレミア価格が付いてるわけではなく、100〜150万円ほど出せば購入できます。
また今回、オーナーのYoshitoさんに乗り続ける上でのチェックポイントを聞いてみました。
するとAピラー頂部のルーフ開閉確認センサーが壊れがちなので注意が必要とのこと。
Yoshitoさんは車両を中古で買った当初、この不具合原因特定ができず、ルーフ開閉ボタンを押してもまったく作動しないメタルトップに焦ったそうです。また、トランクリッドの開閉をチェックしているセンサーも壊れがちです。閉じているにも関わらず車体側は「問題アリ」と判断し、走行中に警告灯が点き、警告音をピーピーと流し続けてしまうそうです。
このトラブル発生時には一度停車して降り、トランクリッドを手動で一度開閉し「今閉じましたよ」と車に教え込んでやる必要があるそうです。何のためにセンサーが付いているの?とちょっと矛盾してるような気にもなりますが、機械と対話してるような感覚が微笑ましい気分にもなりますね。
さらに、クォーターウインドウの電動開閉機構部もトラブルが起きやすく、ほとんどの個体で経年劣化による故障が起きているとのことです。
こうした各部を修理していくまでに多くの時間とお金をかけたYoshitoさんですが、ヴァリエッタを手放すつもりはないそうです。
フルオープン4シーターという珍しいパッケージの上にもともとの生産台数が少なく、かつ発表から18年が経過して残存数は減るばかり。それと反比例するかのように注目度が上がっているのがちょっと嬉しいから、というのが乗り続けたいと思う理由のひとつだとのこと。
SUVとミニバン全盛の今、5ナンバーのクーペカブリオレが出て来る可能性はとっても低いですから、ヴァリエッタの価値はまだまだ上がりそうです。
(写真・動画・文/ウナ丼)
【関連リンク】
Yoshitoさんのプロフィール – みんカラ
http://minkara.carview.co.jp/userid/2310232/profile/
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Source: clicccar.comクリッカー