リフトの代わりにクルマでスキーヤーやスノーボーダーをゲレンデの上に届ける「ゲレンデタクシー」というイベントをSUBARUが始めてはや5年。単なるプロモーションではなく、ゲレンデを駆け抜けるSUBARU AWD車の迫力は、多くの注目を集め、また多くのリピーターも生んでいるといいます。
スーリーのルーフラック、ミシュランのスタッドレスタイヤ、そしてSUBARUのシンメトリカルAWDのパッケージにより、リフトよりも速くゲレンデの上まで運んでもらえるのです。
2018年は過去最大規模となる全国4か所でゲレンデタクシーを実施。その2か所目となる安比高原スキー場の様子を見ることができました。各会場とも土日の2日間限定イベントですが、一日あたり800名もの参加者がいるというから驚き。なにしろ定員乗車でも一度に4名までしか乗れないわけですから、最低でも200往復もしているわけです。
それだけタフな使われ方をしていると聞けば、さぞかし特別な仕様になっているのかと思いきや、タイヤとカラーリング以外はフルノーマル。もちろんリニアトロニック(CVT)のトランスミッションとなっています。安比高原のゲレンデタクシーで使われていたのはアウトバック、フォレスター、XVというSUBARUのSUVラインナップ。いずれもフル加速でアイスバーンの上を飛び跳ねるように駆け上がっていくのですから、乗っているだけで刺激的。毎回、行列ができるというのも納得の貴重な体験となることは間違いありません。
特別にレガシィ・アウトバック、フォレスター(ターボ)、XVという3台のゲレンデタクシーの走りを助手席で体感することができました。ドライバーの話によれば、今回の路面はテカテカのアイスバーン状で、けっして良コンディションではないということでしたが、どのクルマに乗っていても不安感はまったくありません。
アウトバックはフラッグシップらしくジャンプからの着地でも余裕しゃくしゃくですし、280馬力のフォレスターはしっかりとパワーを伝えグイグイと登っていきます。XVの軽快さとコントロール性のよさはUターン地点でのアクセルターンのキマリ具合からも実感できるところでした。
スキー板を持たない同乗試乗だけだったので、下りも乗ることになりましたが、まっすぐ下ろうとするとABSがずっと効いている状態で、たしかに路面コンディションが厳しいことが実感できます。そんな下りもカウンターを当てながら右に左にスラロームしての、ドリフトでいう卍(まんじ)状態で走行するとファンな時間に変身。
参加者の中には「ぜひ下りも!」といって往復の走りを味わう人もいるというほどです。SUVというと安定した走りという印象もあるかもしれませんが、アクティブな走りが楽しいアトラクションとなっています。
ゲレンデタクシーの「シメ」にはトップドライバーによるデモ走行も行なわれます。今回は、全日本ラリーや全日本ダートトライアルにWRX STIで参戦している鎌田卓麻(かまだ たくま)選手が、ゲレンデタクシー仕様のWRX STI(つまりエンジンもサスペンションもノーマル)でパフォーマンス。狭い場所でのフルターンは市販車とは思えないキレ、雪飛沫の「スノースプレー」を浴びたい観客がハイテンションで手を振るなど大いに盛り上がったデモ走行でした。
そして、全日本ラリードライバーの走りはデモ走行以外でも味わうことができたのです。
たとえば、安比高原スキー場のゲレンデタクシーにおいてXVを走らせていた川名 賢(かわな すぐる)選手は、海外ラリーの経験もあり、2017年の全日本ラリーではプジョーやシトロエンを走らせていたドライバー。なんと年間ランキングは2位というトップドライバーなのです。その走りを同乗走行で味わうことができるとなれば、モータースポーツファンも「ゲレンデタクシー」の列に並びたくなるかもしれません。
参加者には、それほどプロフィールをアピールしていないという川名選手ですが、じつは他のドライバーもモータースポーツで実績のある人ばかり。アグレッシブな走りを楽しんだあとには、どんな競技に参戦しているのかを聞いて、ドライバーの活動も応援するというのも楽しみ方となるかもしれません。
なお、2018年の「ゲレンデタクシー」は、残るスケジュールは次の2か所となっています。
栂池高原スキー場 2/3〜4
苗場スキー場 2/17〜18
(写真と文:山本晋也)
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Source: clicccar.comクリッカー