今見ても(または今見ると)価値がある平成初期の名車『平成アーリーズ』を紹介するコーナー。90年代の特徴あるモデルを紹介していきますよ。
今回紹介するのはマツダが『オートザム』というブランドから1991年に発売した『AZ-3』です。
AZ-3は全長4215・全幅1695・全高1310mmのボディサイズを持つ2ドアクーペで、1991年に発売されました。
搭載されるエンジンは1.5Lのツインカムエンジン(最高出力:120ps/6500rpm・最大トルク:13.5kgm/5500rpm)のみで駆動方式はFFです(1993年には1.8L も追加されます)。
同じボディを持ち『ユーノス』というブランドから発売されていたV6エンジン搭載の兄弟車も存在していて、そちらは『プレッソ』という名前でした。
さて今回、このオートザム・AZ-3に乗っている阿部孝夫さんに取材しました。阿部さんは1994年に新車でAZ-3を購入。以来24年間も乗り続けています。
── なぜAZ-3を買ったのでしょう?
「任意保険料など維持費の都合から1.5L以下のエンジンを搭載したクーペを探していました。ただしクーペなら何でもいいわけではなく、後席にしっかり大人が座れるものという条件を設けました。三菱ミラージュ・アスティやトヨタ・サイノスなども候補に挙がりましたが、どれも居住性に満足ができなかったのです」
── AZ-3は大丈夫だったんですか? 外観からは後席に余裕があるようには見えませんが。
「AZ-3はフロントシートを私の身長(170cm)に合わせても、後席にしっかり座れるんです。見てみますか?」
阿部さんが後席に乗り込む様子を見るとあらびっくり。本当に余裕を持って座れています。
膝の前にはかなり空間があります。高さはギリギリのクリアランスですが、頭頂部のあたりがちょうどリアガラス部分になっていて低いルーフを回避できる形になっています。
── なるほどこれは意外に広いのですね。
「ええ。それにこのクルマはラゲッジルームも広いんですよ」
と言って阿部さんがハッチゲートを開けて見せてくれました。確かに広い。
深さは50cmぐらい、奥行きも同じく50cmぐらいはありそう。うーむ、これはかなり実用的なクルマです。それでいてボディサイズは全長4.2m程とコンパクト。これは現行デミオより15cmほど長いだけです。
ちなみに車高は1.3mほどですから、デミオより約20cmも低いです。よくこの全高でフル4シーター・クーペのパッケージを成立させたものだと感心してしまいます。
マツダは最近「外観はスタイリッシュなSUVなのにゆったり座れる3列目シートを持つ」という意外性でCX-8をヒットさせています。しかしその原点は26年前にもあったんです、という話でした。
(写真・動画・文/ウナ丼)
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