英国が取り組む、
「UKオートドライブ」の一環。
ジャガーランドローバー(JLR)の「Vehicle-to-Infrastructure (V2X=車両 to インフラ)」テクノロジーによって、都市部の交通がスムーズになるかもしれない。それも近い将来登場する、現実的なソリューションとして。
V2Xは信号とコネクトして赤信号による停車を防ぎ、結果として都市部のトラフィックをスムーズに流す技術だ。
記録によると、世界で最初の信号は150年前に、ロンドンの国会議事堂のそばに設置されたという。以来、世の中のドライバーは信号が青に変わるまで無限とも思える時間を過ごしてきた。しかしJLRの技術によって、そんな時代が幕を下ろすのも時間の問題となりつつある。
JLRが「Green Light Optimal Speed Advisory (GLOSA=青信号最適スピード推奨)」と名づけたこのシステムは、信号と「会話」を交わして、交差点に近づきつつあるドライバーに最適なスピードを知らせる。
これが普及すれば、ドライバーは赤信号に変わらないにうちに交差点を通過しようと急加速したり、思った以上に早く信号が変わって急ブレーキをかけたりすることがなくなる。V2Xの究極の目的は、都市部のトラフィックをスムーズに流すことで、ストレスフリーな通勤を実現することにある。そうなれば、排ガスを低減するメリットも出てくる。
現在、V2XはFペイスに搭載されて実証試験を受けているところだ。
V2Xは「コネクテッドテクノロジー」の一種であり、その範疇に含まれるGLOSAは様々なテクノロジーと平行して試験が進んでいる。
Intersection Collision Warning(ICW=交差点衝突警告)もその一例。自分が走っている車線と交差する車線から交差点内に進入しようとする車輌がある場合、これをドライバーに告げて、事故を未然に防ごうというシステムだ。
JLRのコネクテッド テクノロジー リサーチのエンジニア、オリオル・クアンタナ-モラレスは次のように語る。
「V2Xは信号待ちの時間を抜本的に短縮する技術です。都市部の交通は安全でスムーズになるでしょう。これで通勤のストレスも解消されます」
この主張はもっともだが、交通の流れをコントロールするこの種のテクノロジーは、車両全般に普及してこそ意味がある。その点でもV2Xは、国が2000万ポンドの予算を計上して取り組む「UKオートドライブ」の一環に組み込まれたプロジェクトなだけに、実現する可能性が高そうだ。
さらに、JLRの自動運転とコネクテッドテクノロジーも歩調を速めるだろうと期待される。JLRは「ゼロアクシデント」「ゼロコンジェスチョン(=渋滞)」「ゼロエミッション」の3つをグループ全体のターゲットに掲げており、これを実現するにはコネクテッドテクノロジーの発展が不可欠だからだ。
V2Xはスムーズな交通の流れを目指したテクノロジーだが、その先にはJLRによる完全自動運転モデルの姿も見えてくる。
TEXT/相原俊樹(Toshiki AIHARA)
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Source: clicccar.comクリッカー