10月13〜14日に富士スピードウェイで開催された「FIA 世界耐久選手権 富士6時間耐久レース」。ル・マン24時間レースなども含まれるFIA 世界耐久選手権の日本ラウンドとなるのがこの富士6時間耐久レースです。
ポールポジションはTOYOTA Gazoo Racingの8号車セバスチャン・ブエミ、中嶋 一貴、フェルナンド・アロンソ組。午前11時ごろのスタート直後からとんでもないスピードでレースをリードしていきます。
予選時のペナルティでLMP1クラス最下位のグリッドからスタートしたTOYOTA Gazoo Racingの7号車マイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペス組も信じられないスピードでスタートから数百mの第1コーナー「TGRコーナー」では6位に、そして3周目には2位に浮上するという奇跡を起します。
その後は揺るぎ無い力強さを発揮しレースの最後に至るまでTOYOTA Gazoo Racingの2台がトップグループを形成しながらの展開となります。しかし、このTOYOTAの2台にチームオーダーは無いようで、どちらが勝ってもいいという体制。
ゆえにポールポジションだった8号車は懸命に逃げ切りを懸けて爆走します。一方、せっかく2位まで浮上した7号車はスタート時のレインタイヤの選択を間違えたのか、そこからのペースが上がらず8号車との距離が縮まりません。
それによって7号車はレース開始後20分足らずで苦渋のピットインをしタイヤを交換。一瞬だけSMP RACINGの17号車に2位の座を明け渡してしまいます。しかし17号車はその後、左前タイヤの脱落というアクシデントのためにピットインし戦線を離脱。同じSMP RACINGの11号車(ドライバーはジェンソン・バトン!)が2位に浮上していくのです。
タイヤ交換をした7号車はペースを取り戻したようで快進撃を続けますが、トップを行く8号車は1分ほど先を行っています。ペースを考えれば2位浮上することは可能ですが、1位の8号車には追いつきそうもありません。そこに大きなアクシデントが起こります。
メインストレートのピット出口付近でGTE-Amクラスのフェラーリがクラッシュ。ドライバーは無事ですが散乱したパーツの除去のためにセイフティーカー(SC)が導入されます。しかもストレートは通行止めとされSCの隊列はピットロードを通過するので通常のSCよりもペースが遅くなりました。
このSC導入により4番手だった7号車はトップの8号車との距離を一気に縮めます。そして降っていた雨はいつの間にか上がり、SC解除後にはスリックタイヤへの交換が必要となってくるのです。
純粋なウェットタイヤを履いた7号車に対し、浅溝のインターミディエイトタイヤを履いていた8号車はドライ路面でも7号車よりはペースが速く、またもや7号車との距離が開きます。そこで7号車は8号車よりも速くスリックタイヤにチェンジ。ここで1分26秒台というドライ路面のペースを発揮した7号車は一気にトップへ躍り出ます。
ピットタイミングなどで8号車はなんとか7号車の前へ出ようとしますが、その後も7号車はトップを維持し続け20秒程度のアドバンテージを持ち続けます。そして残り40分弱の時点で8号車は中嶋 一貴選手、続いて7号車は小林可夢偉選手にドライバーチェンジ。ファイナルスティントはどちらも日本人ドライバーとなり、レース終盤の大きな盛り上がりとなって行きます。
そして6時間後のチェッカーフラッグ。予選から始まる数々の逆境を乗り越えて7号車が堂々の優勝!
TOYOTA Gazoo Racingのピットも盛大な歓迎!
パルクフェルメでは小林可夢偉選手がヘルメットも脱がずに抱き合い、勝利を噛み締めます。
小林可夢偉選手にとってはWECで2度目、今期では初勝利。笑顔に喜びが満ちています。
FIA 世界耐久選手権 富士6時間耐久レース総合優勝、LMP1クラス優勝と数々のトロフィを授与される7号車のドライバー。
そして小林可夢偉選手には日本人最上位に贈られる国土交通大臣杯が授与されました。
「ル・マンで見せたTOYOTAの1・2フィニッシュを日本のファンの皆様の前でも」とトヨタ自動車の豊田章男社長は語っていましたがそれを実現したTOYOTA Gazoo Racing。
2018〜2019年6月までという長い期間のスーパーシーズンはこの富士で折り返し。スーパーシーズン最終戦のル・マンで、そして史上初のスーパーシーズンチャンピオンに向けてTOYOTA Gazoo Racingは突き進んで行くことでしょう。
(写真:松永和浩、高橋秀彰 文:松永和浩)
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Source: clicccar.comクリッカー