前編ではリーフNISMOの良い点と気になる点について、元某メーカーのシャシーエンジニアの端くれだった筆者が『忖度一切なしに』レビューしてまいりました。引き続き、今回の後編もレビューをしてまいります。
[リーフNISMOの良い点]一般道でもわかるコーナリング時の安定感の高さ
タイヤサイズがノーマルのリーフ標準205/55R16から225/45R18と大径、幅広化され、タイヤのグリップ性能も上がっていることを明確に感じます。そのため、コーナリング時の安定感は、ノーマルのリーフよりも20%、30%くらい高く感じます。
タイヤのグリップが上がると、ステアリングがまっすぐの位置に戻るセルフアライニングトルクは増え、ステアリング操作が重たくなるのがセオリーですが、リーフNISMOは操舵力も保舵力もノーマルのリーフと変わらないくらいに軽くできています。
素早い操舵に対して、一瞬の間をおいてクルマが反応する動きは、ノーマルのリーフとさほど違いを感じませんでしたが、一般道レベルでの走行では差が出ないのかもしれません。
[リーフNISMOのあと一歩②]物足りないシートのホールド性
シートのサポート性が若干緩く感じ、『NISMO』のクルマとしては若干物足りなく感じます。
もともとリーフはシートの幅が広く、身体をゆったりと支える形状をしていましたが、ジュークやマーチといったNISMO Sモデルに採用されているサポート性能の優れたRECARO製のNISMOシートが、リーフNISMOではオプションにも入っておらず、ちょっと物足りなさを感じてしまいます。
『NISMO仕様はばシートやステアリングなどドライバーが触れる部分の装備は統一する』というような「強い信念」が欲しい所です。
[リーフNISMOのあと一歩③]プロパイロット使用時の欠如した直進感
個人的に残念なのが「プロパイロット使用時の直進性を良く感じられない」という点。決して、プロパイロットによる運転支援に反対しているわけではありません。
しかし、プロパイロット使用時は、車線中央を走るためにステアリングホイールが左右にちょろちょろと調節させられます。そのため、クルマはまっすぐに走っているのですが「直進感」を感じにくいのです。
「リーフNISMOは、タイヤグリップが増大し、左右進路の乱れも減り直進性は上がる」と期待していたのですが、ノーマルのリーフでも感じた「ステアリングの余計すぎる動き」が払しょくされることがなく、残念でした。
筆者の場合、ステアリングのアシストはOFFにしてプロパイロットを使うのが、疲れが少なく移動ができると感じました。
ただし、同時期に試乗したエクストレイルHYBRIDのプロパイロットの直進感が高かったことを考慮すると、ベースのシャシー性能の差にあるのかも知れません。
「NISMO仕様に約50万円プラスの価値があるか?」という問いに対しては、私は「ある」と考えます。なぜなら「NISMOの世界観はNISMO仕様でしか味わえないから」です。
エアロやホイールタイヤなど、パーツを買ってチューニングを入れていけば、スペック上はリーフNISMOに追いつくとは思いますが「NISMOに乗ってみたい」といった欲は、所有しないと満たされることはないでしょう。
リセールバリューが極端に下がりやすいことが、先代リーフ(ZE0)で分かり、二の足を踏むかもしれませんが、「レアなリーフNISMOを一時期でも所有したい!」といった「冒険心」を大切にするのもいいかもしれないな、と私は考えます。
(文/写真:吉川賢一)
【関連記事】
【日産・リーフNISMO試乗】鋭く、素早い反応特性にセッティングされたワンペダルドライブ
https://clicccar.com/2018/10/07/636444/
あわせて読みたい
Source: clicccar.comクリッカー