レースクィーンの太田麻美さんと、ルノー・メガーヌR.S.で箱根へ。運転に夢中になるドライバーとはうらはらに……。
箱根のワインディングロードにやってきた僕と彼女、そしてメガーヌR.S.。このメガーヌR.S.の最大の魅力は、コーナリングの楽しさだ。
エンジンは1.8Lのターボで279馬力。スーパーカーなどの数字を見慣れると物足りないと思うかもしれないけれど、実際にはこのくらいが本当に使いきれるパワーの限界だと感じる。遅いわけがない。
いっぽうでトランスミッションはEDCと呼ぶデュアルクラッチだから、サーキットを速く走ることもできるし、AT免許しかない人でも運転ができ、クラッチ操作もシフト操作も不要だから渋滞だって安心だ。
コーナリングはとにかくハンドル操作に忠実だ。後輪操舵を採用しているとか、「ダブル アクシス ストラット サスペンション」という凝ったフロントサスペンションを搭載しているとか、理由はいろいろある。
だけどそういう事ではなくて、ドライバーの感覚を裏切らない曲がり方をするのが見事だと思う。いい素材に奢ることなく、それをしっかりと生かした味付けだってことがよくわかる。
驚くほどシャープに切り込んでドライバーのハンドル操作に応じてグイグイ曲がっているのに、接地性が高くて安定感が抜群にいいことに驚かされる。両者は相反するようでいて、実は密接に関係している。昔と違ってコーナリング限界の高まった今のFF車は後輪のグリップレベルが高くないとしっかり曲がるハンドリングが作れないが、そのバランスが素晴らしい。運転していると曲がるのが楽しすぎて、直線になるのが残念なくらいだ。
もうひとつ感じたのは、癖のなさ。試しにスタビリティコントロールをオフにして、旋回中にわざと乱暴なアクセルワークをしてみた。普通はハイパワーエンジンを積んだFF車で旋回中にアクセルを踏み込むと、走行ラインが外側へ向かっていくもの。しかしメガーヌR.S.ではハンドリングへの影響がほとんどなく、コーナリングラインが安定していたのだ。なんという素晴らしい調教なのだろうか。
……と、つい運転好きとしては走りを楽しみたくなるのだが、今日はそんな気持ちをグッと堪えて彼女とのドライブを堪能しよう。
「乗り心地がいいよね、このクルマ。」
彼女はそう言ってニコっと笑った。助手席の彼女にとっては、速いクルマよりもハンドリングの優れたクルマよりも乗り心地がよくて快適なクルマのほうに好感が持てるのはよくわかる。
リアルスポーツカーなのに、彼女にはそれを気付かれないくらい乗り心地が優れている。もしかしたら、それもメガーヌR.S.の凄さなのかも。
今日は、いつもよりゆっくり走ろう。(Vol.06 に続く)
(文:工藤貴宏/モデル:太田麻美/ヘア&メイク:東なつみ/写真:ダン・アオキ)
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Source: clicccar.comクリッカー