新型メルセデス・ベンツGクラスが発表され、8月下旬以降から納車が開始されます。日本仕様値がまだ発表されていないため欧州値で比較すると、先代よりも全長が53mm、全幅が64mm、全高が15mm、ホイールベースが40mm、いずれも拡大しています。サイズ感はひと回り大きくなっています。
新設計ラダーフレームとリヤのリジッドアクスルなど、Gクラスの走りを決定づける要件は維持しながら、フロントはリジッドアクスルから独立懸架式のダブルウィッシュボーンに変更。さらに、ボール・ナット式から現代的なラック&ピニオン式に変えられたのもオン、オフロードを問わず走りに大きな影響を与えています。
以前お伝えしたように、新型Gクラスの試乗前に先代(大幅改良前)に乗る機会があったため、先代の感触が残ったまま新型に乗ることができました。
先代まではステアリングの動きが良くも悪くもトラック的なフィーリング。「ヨイショ」という感覚でスローなステアリングを切ると、少しの間を置いてからクルマが曲がってくれる感じでした。
ラック&ピニオン式になった新型は、今どきのSUVらしい乗用車的な操舵感で、良くも悪くも古典的な感触は一切ありません。初めてSUVに乗る人でもステア操作に関しては、それほど違和感を抱くことはないでしょう。ロール量が半減したようなコーナリング姿勢で、知らず知らずのうちに速度が上がってしまうほど。その巨体を感じさせないフットワークには驚愕させられました。
さらに、フロントがダブルウイッシュボーンに変更されたことで、足の動きがスムーズになり、とくにオンロードでの快適性は数段高くなっています。これなら家族4人でロングドライブも快適に過ごせそう。また、4.0L V8ツインターボを搭載するエンジンパワーは、422ps/610Nmの標準仕様、585ps/850NmのAMGともに圧倒的な加速フィールが味わえます。とくにAMG G63は暴力的ともいえる加速で驚かされます。
新型のフィーリングは人により好みが分かれそうですが、個人的にはオンロードだけでなく、オフロードでも大型化されたにも関わらず、運転がしやすくなった印象で、毎日ステアリングを握るのであれば、新型の「現代化」は素直に歓迎できます。
それでも、Gクラスらしい、より個性的な味という意味では先代が好きという方もいるはずで、まだ併売されているうちに改良前をオーダーする手も十分にあります。もちろん、比較的コンパクトだった先代は、狭い駐車場でも駐車しやすく、ディーゼルエンジン仕様も指名できる利点もあります。
(文/写真 塚田勝弘)
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Source: clicccar.comクリッカー