日産・ノートが2018年上半期の登録車販売のトップとなりました。シリーズハイブリッドとして電動フィーリングを味わいつつ、充電ではなく給油によるエネルギー補給という手軽さがうけているという見方もあります。ノートにつづくトップ3はトヨタのアクア、プリウスです。電動化が売れる要素といえるのかもしれません。
タイミングよく、日産と国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下、産総研)が興味深い共同研究の成果を発表しました。
テーマは『ペダル操作の違いが運転者の心理状態を脳活動に及ぼす影響』というもの。産総研の自動車ヒューマンファクター研究センターが中心となり、ノートe-POWERを用いて、この研究は行なわれました。
ノートe-POWERといえば、アクセルペダルだけで加減速がコントロールでき、停止までできる「ワンペダル操作」を可能しているのが特徴です。実際、市街地でのABペダルの踏み変えが約7割減るというのがセールスポイントです。これは国産他メーカーにはない日産だけの特徴で、その違いは運転の楽さにつながると日産はアピールしています。そこで、ワンペダルをドライバーがどのように感じるのかを産総研と共同研究したわけです。
実験に参加したのは12名で、うちわけは男性6名(22歳〜55歳)、女性6名(24歳〜54歳)。いずれも日常的に運転をしていて、なおかつ特別な訓練を受けていない一般ドライバー。
運転感覚の新鮮さを可能な限り排除するため各人が6時間という長い時間をかけて、一般道においてノートe-POWERを2ペダルモードとワンペダルモードを交互に運転。そのときの脳波や眼電図、心電図といった整理指標を計測することで、客観的にワンペダルと2ペダルで操作時の違いを明確にしようというわけです。
結論をいえば『ワンペダル操作での運転は、楽しさの重要な要因の一つである「運転への集中状態」を自然に引き出しうる』、『ワンペダル操作での運転時には、「運転がより楽しく感じられる」』ということです。しかも、運転に集中しているのにのもかかわらず、ドライビングによる疲労や負荷が大きくなることはないと認められたといいます。
とはいえ、今回の研究は比較的少なめのサンプルから導かれた結論であり、またその理由については明確になっていません。あくまでもノートe-POWERにおいて、2ペダルよりもワンペダル操作のほうが楽しく運転できると感じたドライバーが統計的に有意な差として多い、と認められたということになります。
しかし、少なくともノートe-POWERにおいてはワンペダル操作のほうが運転が楽しく感じるということはいえ、また運転に集中することができるということはいえそうです。
売れに売れているノートe-POWER、まだ触れていないユーザーが試乗する機会があれば、ワンペダル操作を試してみることで、その魅力に触れることができる、売れている理由が理解できるといえるのかもしれません。
なお、日産がアピールしてきた運転疲労度の軽減については、この研究では違いが認められなかったといいます。それよりも楽しさが上回ったということでしょうか。
今回の研究はワンペダル操作と2ペダル操作において統計的に有意と認められる違いがあるのかどうかという点を明らかにしました。今後は、その違いを生み出すメカニズムの解明と、その知見を活かしたクルマづくりが期待されます。
(写真:門真 俊/文:山本晋也)
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Source: clicccar.comクリッカー