スバルの中で、もっとも走破性に有利なディメンションを持つクロスオーバーSUV「フォレスター」がフルモデルチェンジしました。発売は7月19日(ハイブリッドは9月14日)からですが、メディア向けのグローバル試乗会も開催され、また全国キャラバンも始まることもあって、その姿を目にする機会は増えると思われます。
とはいえ、その第一印象では「パッと見では旧型と見分けがつかない」という声があるのも事実。たしかにフロントマスクはフルモデルチェンジとしては、かなりイメージを色濃く残しています。もちろん、パーツが共通ではないので完全に異なる顔なのですが、典型的なキープコンセプトデザインと思ってしまうことでしょう。
実際、遠目に区別するにはフロントバンパー左右にあるフォグランプベゼルの形状違いを覚えるくらいしかない、という風にも見えます。しかし、新旧フォレスターの違いが明確なのは、ボディサイドを走るキャラクターライン。旧型では前から後ろまで、ほぼまっすぐに引かれているラインですが、新型では後方でキュッと跳ね上げています。顔つきは似ていてもプロポーションは完全に異なるわけです。
ここには、どのような狙いがあるのでしょうか。スバル・デザイン部の方に話を伺ってみました。
デザイナー氏によると、「新型フォレスターは後ろからデザインが進められた」というのです。というのも、新しいフォレスターはラゲッジの開口部が1300mmと広く、荷室幅もゴルフバッグが横に積めるほど拡大しています。
開口部を広げるということはテールゲートが大きくなってしまい、ともすれば商用車的なのっぺりとした印象になりがちです。しかし、デザインコンシャスであることもクロスオーバーSUVの商品性には欠かせません。
そこでテールゲートにボリュームを与えることで、SUVらしい力強さと実用性の高いラゲッジスペースを表現しています。そのために、サイドのキャラクターラインをテールゲート手前のキャビン側で収束させ、ラゲッジスペースのボリュームを感じさせるデザインとしているのです。この部分の処理は新型フォレスターのデザインにおいて最大の関門。そのため、早い段階でラゲッジスペースやテールゲートのモックアップを作り、スタイリングと使い勝手を両立するデザインを追求したということです。
クルマのデザインというと、前から描かれていくようなイメージもありますが、新型フォレスターは後ろから出来上がっていったスタイリングなのです。そう思って、あらためて後ろ姿を眺めていると、旧型とはまったく異なるクルマに仕上がっていることが理解できるのではないでしょうか。
その姿は、機能を表現しているわけです。ちなみに、フロントマスクでは「アダプティブドライビングビーム」の搭載を強調する大きな目玉がポイントなのだそうです。眼力が強まっているのは代わり映えのためではなく、こちらも機能表現だったのです。
(山本晋也)
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Source: clicccar.comクリッカー