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トヨタも日産も! マツダ以外のメーカーで開発された日本のロータリーエンジン

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目次

■日産のロータリーエンジン

ご無沙汰しました。多々イベントが続きましたが、技術会議、最新技術追っかけ、趣味友好など、このコラムに合いますか…

1973年東京モーターショー展示の日産サニーREクーペ・コンセプト。

そこでREに戻ります。1959年秋、ヴァンケル研究所とNSU社がREを発表しましたが、世界の自動車、2輪車、航空、汎用エンジン・メーカーたちがライセンス所得の交渉にNSU門前に市を成しました(古い形容は歳のせいとお許しください)。

日本でもマツダの他、トヨタ、日産が自動車用、スズキとヤマハが2輪、ヤンマーが汎用にライセンスを取得しました。ホンダは興味なく、乗用車メーカーであったいすゞは、わが道を行く独自のRE研究を選びます。

日産は高速周回路におけるメディア試乗を実施。

日産は1972年東京モーターショーにサニークーペ・べースのコンセプトカーを展示し、その後、テストコースにおいてメディア試乗会を開催しました。エンジンは2ローター、単室容積500ccで、マツダ(そしてトヨタ)初期と同排気量でした。マツダと異なり、NSUと同じなのは吸排気ポートがトロコイイドハウジングに開いた“ペリフェラル”型で、気化器仕様、公称120 hpでした。ちなみにマツダ・ファミリア・ロータリークーペの10Aエンジンは、常用域のトルク特性に有利なサイド吸入ポートを用い、100 hpに抑えていました。

サイド吸入方式とカーボン製アペックスシールは、マツダのユニーク特徴と思われがちですが、NSUと米ライセンサー、カーティス・ライト社は、初期プロトエンジンでサイド吸入ポートを採用し、NSU最初の市販車スパイダーはカーボンシールでした。両者ともに、高出力を狙い、ペリフェラル吸入方式に変えます。NSUスパイダーは、アペックスシール破損に苦労し、次の Ro80では鉄系に変えます。マツダは、カーボンメーカーと共同でアルミ浸潤カーボンシールを開発し、信頼性を確保したのです。カーボンの自己潤滑性も助けとなりました。

日産は2代目シルビアにREを意図したという。シルビアはサニー・プラットフォームベース。

日産は、スペシャリティ・クーペ2代目「シルビア」にRE搭載を意図していたといいます。初代は国内向け、ほとんど手作りの高級モデルでしたが、2代目は量産サニー・プラットフォームをベースとし、北米市場も戦略に入れていました。石油危機襲来で、日産はRE計画を中止します。もし、石油危機が数年遅れていたら、アメリカでは複数のREクーペがハイウエイ、そしてサーキットでしのぎを削ったかもしれません。

■トヨタのロータリーエンジン

7代目トヨタ・クラウンの試乗会でした。箱根ピクニックガーデンのスタート/フィニッシュの場で今泉研一主査(現在のCE)と会話。「よくこれだけ 多種エンジン揃えましたね。1G-GZEU 2.0L DOHC スーパーチャージドとは、意表をつかれました。」温和な顔の今泉さん、ニコッと笑って、「私、以前REをやっていたのです。上司が『スーパーチャージャーも回るもの、やれ』と命じられたんです」初代セリカに搭載して開発テストをしてたそうですが、滑らかさは卓越しちたとか」当時の日本の高性能直4、いや直6でも音振は相当のもの。ヨーロッパの友人元レーシングドライバー、ジャーナリストは、「あれほど素晴らしく滑らかなマニュアルギアボックスをつくれるのに、なぜエンジンがうるさく震える!?」といぶかりました。

トヨタのRE計画は、スペシャリティにとどまらなかったようですが、正式技術発表、試乗はありませんでした。

トヨタREは、セリカに搭載し実験試走。写真はRE車ではありませんが、なんとなくリフトバックが似合うような気がします。

何年前でしたか、名古屋市内のトヨタ産業技術記念館で突然遭遇したのがトヨタの3つの先進コンセプトエンジンでした。乗用車用ガスタービン、 2ストローク・ユニフロー2気筒、そしREのカットモデルでした。これがトヨタ博物館でしたら、学芸員さんのとことろに飛んでいくのですが、産業記念館ではこと自動車は故事来歴をお聞きする人も見当たらず(自動織機でしたら、エクスパートの即答が返ってくるでしょう)。

こつぜんと名古屋市内トヨタ産業技術記念館に現れたトヨタREカットモデル。

パネルには、単室容積500cc、2ローターと簡単な記載。サイドハウジングが大きくカットされているので、吸入ポートは確認できませんが、どうもポート噴射らしい… その後、何度か記念館に行きましたが、2度と見ることはできていません

さらに興味のあるのが、3種の革新技のひとつ、2ストローク、排気キノコ弁ユニフロー型2気エンジンでした。その後、ダイハツが2CDDIなる同コンセプトを東京ショーで展示、プロト試乗もできましたが、これは、別のストーリーです。

ホンダは、60年代F1, F2 (12戦11勝)、 CVCCなどの大忙しで、REには興味を持たなかったようです。

ヴァンケル研究所の別案RE。燃焼室も回転するんDKMの一種で、アペックスシールが内側回転ハウジングに設けられている。

日本の自動車老舗であり、トラック、バス、SUV、乗用車メーカーでもあったいすずは、独自のREを研究開発していました。最近いすず関係者に聞いたのですが、あったことは確か、しかしモノ、情報は不明とのこと。生産にいたるヴァンケル型固定繭形ハウジング・3葉ローター以外の例として仏ルノーとヴァンケル自身の別案をお見せします。

ルノー独自のREコンセプト図。

(山口京一)

Source: clicccar.comクリッカー

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