ダイハツ・ハイゼット・トラックに用意された「スマートアシストⅢt」には、「t」の文字が追加されています。
助手席に乗って、衝突被害軽減ブレーキと前方の誤発進抑制機能を体感しました。何度もこうした緊急ブレーキのテストを体験すると、慣れてしまい感度が鈍くなりがちですが、衝突被害軽減ブレーキに関しては、軽キャブトラックというフロントの形状のせいか、思ったよりもギリギリで止まるという印象。しかし、助手席から下りて確認すると、意外と余裕があり、人が1人通れそうな間隔が残されていました。
同装備はMT車にも搭載され、ドライバーがクラッチを踏まずに(緊急時はおそらくクラッチを切らない)緊急ブレーキが作動すると最終的にはもちろんエンストします。MT車は最終的にエンジンが停止してしまうため、ブレーキとの制御の連続性が難しいとのこと。しかし、MT車もAT車と同じように1.5秒間ブレーキが保持されるそうです。
「スマートアシストⅢ」から「t」にする際に難しかったのは、スペックを決めることだったそう。
それは、軽トラのフロントヘビー(空荷だと前が重くて、後ろが軽い)、ショートホイールベース、荷物の積み方(荷室の片側に寄せて積む)、最大積載量まで見ることが求められます。
フロントヘビーだと、急ブレーキを掛けるとかなり前に荷重がかかり、リヤが浮きやすくなる「前つんのめり」になります。この点についても留意して開発。
具体的には、2017年11月のマイナーチェンジ時にハイブリッド・トラックにもABSを全車標準装備化した際に、前後の制動力配分を変えるEBD(電子制御制動力配分システム)の制御で「前つんのめり」を改善したそう。
さらに、「スマートアシストⅢt」で、ショートホイールベース、荷物の方側積み(左右差)という課題を検証し、車両安定性を確保すべく車両安定制御VSC(&TRC)を追加することによって制御しているそう。また、減速度(G)の出し方も当然、ハイゼット・トラックに合わせて設定されています。
(文/写真 塚田勝弘)
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