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【週刊クルマのミライ】ブリヂストンが発明した樹脂とゴムのハイブリッド素材でタイヤはどうなる?

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先日、ブリヂストンが世界初となる画期的な発明を発表しました。それはゴムと樹脂を分子レベルで合成させたという新素材「HSR(ハイストレンジスラバー)」です。

発表会の場では加硫していない生ゴムとHSRを輪ゴム状にして引っ張ってみるといったデモンストレーションもありましたが、生ゴムがパチンと切れてしまうのに対してHSRは加硫による弾性があるかのように伸びて切れることはありませんでした(もちろん、加硫していないので伸びっぱなしになってしまいますが)。

現在、タイヤに求められる性能を満たすための素材としては、生ゴムが合成ゴムを上回っている状態で、いくら合成ゴムが進化したといっても生ゴムが理想の素材であることに変わりはありません。しかし、HSRはおそらく史上初の生ゴムに代わるタイヤ素材のエースとなる合成ゴムなのです。正確には、ゴムと樹脂のハイブリッド素材ですけれど……。

今はまだラボレベルというHSRですが、それでもHSRをメイン素材としたタイヤは試作されているといいますから、遠からずタイヤのカタチになって世の中に披露されるであろう近未来の素材なのです。では、HSRがタイヤのメイン素材となったときには、どのような変化が出てくるのでしょうか。

強い素材ということは、減らないタイヤができるということになります。消耗品ビジネスであるタイヤメーカーとしてはロングライフの商品(タイヤ)というのは儲かりづらい商品にもなってしまうと思えます。

そうした点について、先日の発表会で質問したところ、同社・常務執行役員 松田 明さんは「ブリヂストングループの環境宣言は『未来のすべての子どもたちが安心して暮らしていくために…』というものです。たしかに長寿命のタイヤというのはビジネス的には厳しく思えるかもしれませんが、だからといって躊躇しては、持続可能な社会は実現できません」と力強く答えてくれました。

たしかに廃タイヤの処理というのは社会問題になります。あらゆる経済活動は人間社会が続くことが大前提ですから、タイヤの長寿命化は長い目でみればメーカーにとっても目指すべき目標というわけです。また、具体的にはこれからカーシェアリングが広まっていくと予想されています。そうなると各パーツのロングライフ化によるメンテナンスサイクルの延長は求められるところになります。オイル交換などは電動化によって減っていくとして、タイヤのロングライフ化はシェアリング社会と相性のいい進化だといえそうです。

さらにゴムが丈夫になるということは、現在のタイヤよりもゴム使用量を減らせるということですから、タイヤの軽量化にもつながります。すなわち燃費面でポジティブな影響が期待できるのです。

ところで、タイヤのメンテナンスフリーといえば、東京モーターショーなどでブリヂストンが展示してきた「エアフリーコンセプト」を思い出します。樹脂のバネによって空気の代わりをさせることでタイヤ空気圧の調整という手間を省くことができるタイヤの新しいカタチです。

こうしたタイヤではトレッド部分と樹脂のバネやホイール部分が一体となっているためタイヤの摩耗で全交換を求められるため、コスト的なネガが指摘されることは少なくありません。しかし、今回発表されたHSRを利用すれば長寿命のエアフリータイヤが生み出せるかもしれません。

ブリヂストンが発明したHSRは、現在の生ゴムを置き換える素材にとどまらず、タイヤのカタチそのものを変えてしまう可能性を秘めた新素材なのです。

(山本晋也)






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ブリヂストンがゴムと樹脂を分子レベルで合成した新世代の材料を発明
https://clicccar.com/2018/05/18/590827/

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Source: clicccar.comクリッカー

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